この研究は、トレハロースの非存在下または存在下で、H2OおよびD2O水溶液中のウシ血清アルブミンのサンプルに、200 mTの静磁界または1.8 mTの50Hz磁界へのばく露を別々に実施し、フーリエ変換赤外分光法を用いて、タンパク質の二次構造への影響を比較した。その結果、静磁界への2時間および4時間のばく露後の中赤外領域スペクトルにおいて、両方の水溶液中のタンパク質のアミドAおよびアミドIバンドの強度低下が見られた;このことは、50Hz磁界へのばく露後にも示された;これらの知見は、どちらの磁界ばく露も、ペプチド結合におけるC=OおよびC-Nの伸縮振動およびN-Hの変角振動に影響を与える可能性があることを示す;さらに、トレハロース水溶液中のウシ血清アルブミンの中赤外領域スペクトルは、ばく露後に有意に変化せず、電磁界に対するトレハロースの生物防御効果の可能性が示された、と報告している。
ウシ血清アルブミン水溶液の2つの異なるサンプル(100mg/ml)をばく露(一部を80mg/mlのトレハロースと共に)し、2または4時間のばく露後に測定を実施した。
構造が異なるタンパク質が存在し(例:ベータシート及びアルファらせん構造が典型的なタンパク質の二次的構造)、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法で異なる振動帯を生じる。ペプチドまたはタンパク質バックボーンの振動から生じるアミド帯の違いが、タンパク質振動スペクトルの特徴である。
H2O 及び D2O 溶液中のタンパク質サンプルの静磁界及び超低周波磁界への最大4時間のばく露後に、アミドA及びアミドI振動帯の強度の明確な低下に代表される、ウシ血清アルブミンの二次的構造の変化が認められた。このことから著者らは、タンパク質の二次的構造にC=O及びC-N伸縮振動及びNH結合が生じたと仮定した。
対照的に、トレハロース水溶液中のウシ血清アルブミンは、静磁界及び超低周波磁界ばく露後にほとんど変化せず、このことは、トレハロースがタンパク質を電磁界から保護するという仮説を支持している。
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