この研究は、ヘモグロビンのタンパク質構造に対する超低周波電磁界の影響を、フーリエ変換赤外分光法によって調べた。3つの異なる水溶液(再蒸留水、ショ糖水溶液、トレハロース水溶液)で作成したヘモグロビン水溶液に、1mT、50Hzの電磁界への3時間ばく露を行い、その後にFTIR測定を行なった。その結果、定量的スペクトル分析により、再蒸留水およびショ糖水溶液中のヘモグロビンのアミドAバンドの強度は明らかな減少を示したが、トレハロース水溶液中のヘモグロビンでは減少は見られなかった;さらに、アミドI領域のβシートの小さな相対的増加が、再蒸留水とショ糖水溶液の両方のヘモグロビンで検出されたが、トレハロース水溶液中のヘモグロビンの赤外スペクトルには感知できるほどの変化はなかった;以上の知見から、50 Hzの電磁界がペプチド結合のNH面の曲げ振動とCN伸縮振動に影響を与える可能性がある、と報告している。
(健康なドナーからの)3つの異なるヘモグロビン水溶液サンプルを50Hz電磁界(また、50mg/mlのスクロースまたはトレハロース)にばく露し、ばく露の3時間後に測定を実施した。
タンパク質は、FTIR分光法(赤外線分光法)で異なる振動帯を生じる異なる構造(例:ベータシート及びアルファらせん構造は典型的な二次的タンパク質構造)に存在する。ペプチドまたはタンパク質バックボーンの振動に由来する異なるアミド帯は、タンパク質振動スペクトルの特徴である。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 3 h
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Hemoglobin was investigated i) in aqueous solution ii) in the presence of sucrose iii) in the presence of trehalose
超低周波電磁界ばく露はヘモグロビンの赤外線振動帯に影響した。アミドI領域におけるアルファらせんの量に関するベータシートの相対的増加等の幾つかの変化が辛うじて認識できたが、水中及びスクロース水溶液中の両方のヘモグロビンには、ばく露の3時間後にアミドA帯の強度の明確な減少が認められた。対照的に、超低周波電磁界はトレハロース溶液中のヘモグロビンの赤外スペクトルには影響しなかった。このことは、トレハロース等の二糖類には超低周波電磁界に対する保護作用があるかも知れないという仮説を支持している。
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