この研究は、肝蛭の卵の孵化率、続いて、その肝蛭に感染したコシダカヒメモノアラガイ(Lymnaea truncatula)の繁殖力と生存率に対する超低周波磁界(ELF MF:50 Hz、2 mT)ばく露の影響を調べた。まず、肝蛭の卵へのELF MFの10日間ばく露実験を行なった。続いて、肝蛭の中間宿主であるコシダカヒメモノアラガイを3群に分け、第1、2群は、最初の10日間ばく露実験で対照とした肝蛭の卵から孵化した幼生に感染させ、第3 群は、ELF MFばく露を受けた肝蛭の卵から孵化した幼生に感染させた。その後、第2、3群には53日間のELFMFばく露を与え、第1群は無ばく露対照とした。その結果、10日間のELF MFばく露を受けた肝蛭の卵は、対照の卵に比べ、孵化が加速した;感染させられたモノアラガイにおいて、感染後14日目で、第1群に比べ、第3 群の卵嚢の数は有意に減少した;感染後42日目で、第3 群の有意な死亡率が観察された;第3 群での死亡率上昇および卵嚢数の減少は、おそらくELF MF下で育った幼生に感染した結果として、メタセルカリア(肝蛭の感染幼虫)の単為生殖が強く刺激されたことに起因するのかもしれない、と報告している。
Fasciola hepatica (一般的な肝吸虫)の卵の孵化率、 Fasciola hepatica が感染した宿主の巻貝 Lymnaea truncatula の繁殖力(繭の数)及び生存能力に対する、超低周波磁界の影響を評価すること。
ミラシジウムは吸虫綱の寄生扁形動物の幼生期。
感染した巻貝を3群に分けた(各群n=8):グループI及びIIは対照のミラシジウムに感染(非ばく露)、グループIIIは磁界ばく露したミラシジウムに感染。感染後、グループII及びIIIの巻貝も超低周波磁界にばく露した。
Snails were divided into three groups: i) Lymnaea truncatula infected with miracidia of Fasiola hepatica not exposed to EMF ii) Lymnaea truncatula infected with miracidia of Fasiola hepatica not exposed to EMF, but exposed to EMF after infection iii) Lymnaea truncatula infected with miracidia of Fasiola hepatica exposed to EMF and further exposed to EMF after infection
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 10 days |
Additional information | eggs of Fasciola hepatica |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | pair of Helmholtz-coils with a diameter of 17 cm each, 7 cm apart, generating a vertical field; Helmholtz coils mounted on a wooden frame surrounding the cork-jacketed cylinder into which the culture flasks were placed |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | the difference in temperature in the experimental and control groups did not exceed 1.5°C |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2 mT | effective value | 測定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 53 days |
Additional information | Lymnaea truncatula |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2 mT | effective value | 測定値 | - | - |
このデータは、インキュベーション10日目の非ばく露対照群に関して、超低周波磁界下で発生させた Fasciola hepatica の卵の孵化の加速を示した(2.4倍)。同時に、対照の培地には発生したミラシジウムが約3倍多く含まれていた。
感染後14日目、対照群と比較して、グループIIIの巻貝の繭の数に有意な減少が観察された。また、感染後42日目、グループIIIの巻貝に死亡率の有意な増加が観察された。グループIIIの巻貝の死亡率の増加と繭の数の減少は恐らく、超低周波磁界の下で培養したミラシジウムへの巻貝の感染の結果、メタセルカリアの単為生殖の刺激が強化されたことによって生じた。
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