この研究は、パルス電磁界(PEMF、50 Hz、5 mT)の反復ばく露により、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットおよび健康な対照ラットの胸部大動脈輪に誘発される機械的応答および膜電位変化を調べた。体重250〜290 gの60匹のオスのウィスターラットを無作為に2群(各n = 30)に分け、一方の群には、ストレプトゾトシンを尾静脈注射して、真性糖尿病(DM)誘発させ、DM群とした。他方の群は、0.9 %生理食塩水で処理され、非DM群と見なされた。両方の群はそれぞれ、PEMFばく露、擬似ばく露のサブグループ(それぞれn = 15)に分けられた。PEMFばく露は、毎日、30分間のばく露を15分間隔で4回与え、これを30日間繰り返した。ばく露実験終了後に、すべてのラットから胸部大動脈輪を摘出し、さまざまな反応を試験するために選択された化学薬品の存在下または非存在下で、大動脈輪の収縮と弛緩反応、膜電位変化を評価した。その結果、胸部大動脈輪の弛緩反応は、非DM群に比べ、DM群で有意に減少した;DM群では、PEMFばく露によるアセチルコリンに対する弛緩反応上昇およびフェニレフリンに対する濃度反応低下が有意であった;静止膜電位は、非DM群に比べ、DM群で有意に高かった;一酸化窒素(NO)の阻害剤は、すべての群で一過性過分極を有意に引き起こした;カリウムチャネル活性の阻害剤は、膜の脱分極を引き起こした;しかし、PEMFばく露を与えたDM群では、いかなる膜電位への影響も生じなかった;以上の知見は、PEMFによる治療が、糖尿病による胸部大動脈輪の弛緩反応の障害を改善する可能性を示唆する、と報告している。
糖尿病は、神経伝達物質に対する血管反応性の障害と関連している。パルス電磁界は身体に弱い電流を生じ、これがニューロンにおける脱分極、再分極、過分極を生じ得る。これが、ラットにおいてニューロン活性及びこれに関連する血管性応答を潜在的に改変し得るという仮説が立てられている。
雄のラットを4群(各群15匹)に分けた:1) 糖尿病+ばく露、2) 糖尿病+偽ばく露、3) 健康なラット+ばく露、4) 健康なラット+偽ばく露。ストレプトゾトシンを投与して糖尿病を生じさせた。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
4 x 30 min/day with 15 min intervals, for 30 days
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animals were divided into four groups: i) sham exposure ii) exposure to pulsed magnetic fields iii) diabetes mellitus + sham exposure iii) diabetes mellitus + exposure to pulsed magnetic fields
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 4 x 30 min/day with 15 min intervals, for 30 days |
Additional information | It is not clear why the author calls the field a "pulsed magnetic field". No further information given on type of pulse, pulse length etc. |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | 400 mm long solenoid with a diameter of 210 mm, with 1400 turns of 1.4 mm soft copper wire; rats placed in a 40 cm x 17 cm x 13 cm plexiglas cage inside the solenoid; magnetic field homogeneuos in this area |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | - | 測定値 | - | - |
機構的反応:大動脈リングの収縮は、糖尿病ラット(グループ1、2)よりも非糖尿病ラット(グループ3、4)で有意に多かった。糖尿病グループでは、収縮はグループ1で有意に少なかった。フェニレフリンでの準最大収縮後、アセチルコリンは全ての大動脈リングに有意な弛緩を生じ、これは糖尿病グループ(グループ1、2)で有意に少なかった。糖尿病グループでは、弛緩はばく露群で有意に多かった(1)。
膜電位の変化:安静時電位は非糖尿病グループよりも糖尿病グループで有意に高かった。パルス電磁界ばく露は膜電位に有意な影響を生じなかった。
糖尿病は胸部大動脈リングの弛緩を低下させ、膜電位に影響した。パルス電磁界での処理は、リングの弛緩反応における糖尿病による障害を改善した。
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