研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ウサギの歪成分耳音響放射に対する超低周波電磁界の影響] med./bio.

Effects of extremely low frequency electromagnetic fields on distortion product otoacoustic emissions in rabbits

掲載誌: Auris Nasus Larynx 2009; 36 (3): 255-262

この研究は、50 Hz ELF-EMFの電界ばく露がウサギの聴覚機能に与える影響を調べた。ばく露した電界強度は5,068および10,182 kV / mである。聴覚機能は、耳音響放射検査により評価した。20匹の健康な成獣の雌ニュージーランドホワイトウサギを無作為に2群に分け、一方には5.068 kV / m の50 Hz 電界(グループ1)、他方には10.182 kV / m(グループ2)のばく露を、3時間/日で14日間与えた。ばく露前の0日目(B-EMF)、およびばく露終了から6日目(A-EMF-6日)および14日目(A-EMF-14日)にDPOAE応答を記録した。1.0〜8.0 kHzでの平均刺激強度と放射振幅を分析した。その結果、グループ2のウサギでは、6日目と14日目に、1.5〜4.0 kHzでのDPOAE振幅がB-EMF値よりも増加していることが観察され、特に2.0および4.0 kHzでの増加は有意であった;6.0 kHzでは、A-EMF-14日目の振幅はA-EMF-6日目の値より有意に低かった、と報告している。

研究目的(著者による)

ウサギの蝸牛機能及び聴覚に対する超低周波電磁界の影響を調べること。

詳細情報

20匹の雌のウサギを無作為に2群(各10匹)に分けた:
1) 5.068kV/mの50Hz電磁界ばく露;2) 10.182kV/mno50Hz電磁界ばく露ばく露の前日、ならびにばく露の6日後及び14日後にDPOAE測定を実施した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 3 hr/day on 14 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 3 hr/day on 14 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • copper sheets (74 cm x 50 cm x 0.2 mm) on the top and bottom of the cage
ばく露装置の詳細 70 cm x 50 cm x 20 xm wooden cage with wooden blocks attached under it for insulation
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 5.068 kV/m - 計算値 - at U = 2240 V
電界強度 10.182 kV/m - 計算値 - at U = 4500 V
磁束密度 0.00218 nT - - - at U = 2240 V
磁束密度 0.00445 nT - - - at U = 4500 V

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
  • 感覚器
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

5.068kV/mにばく露したウサギ(グループ1)では、ばく露の6及び14日後の2kHzのDPOAE振幅が、ばく露前の値よりも有意に低下した。10.182kV/mにばく露したウサギ(グループ2)では、2及び4kHzのDPOAE振幅が、ばく露前と比較して有意に低下した。また、グループ2では、6kHzの振幅が、ばく露の6日後と比較して14日後に有意に低下した。

この結果は、超低周波電磁界は聴覚機能に影響を及ぼし得ることを示唆している。より高いばく露では、蝸牛の活性の上昇を生じた。

研究の種別:

研究助成

関連論文