研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ウサギでの誘発耳音響放射に対する超低周波電磁界の影響] med./bio.

Effects of extremely low frequency electromagnetic fields on transient evoked otoacoustic emissions in rabbits

掲載誌: Int J Pediatr Otorhinolaryngol 2009; 73 (3): 429-436

この研究は、ウサギを用いて、超低周波電界へのばく露誘発耳音響放射TEOAE)に与える影響を調べた。健康な成獣の雌ニュージーランドホワイトウサギ20匹を無作為に10匹ずつの2群に分け、一方は5.068kV / m(グループ1)、他方は10.182kV / m(グループ2)の電界へのばく露を3時間/日で14日間受けた。TEOAE応答を、ばく露前の0日目(0-BE)、ばく露後6日目(6th-AE)および14日目(14th-AE)に記録した。TEOAE記録は、1.0 - 4.0 kHzにおける放射振幅を分析した。その結果、グループ1および2において、6th-AEに記録された振幅は、0-BEに記録された振幅と異ならなかった;唯一の有意差が検出されたのは、6th-AEにおけるグループ1の右耳での1.5kHzでの放射振幅中央値(3.8dB SPL)が0-BEの中央値よりも有意に低いことであった;14th-AEにおける放射振幅に、0-BEの記録との有意差はなかった;結論として、6th-AEに記録に見られた有意なTEOAEの減少は一過性のものであり、ELF 電界はウサギの聴覚に有意な影響を与えないことが示された、と報告している。

研究目的(著者による)

ウサギの聴覚機能に対する異なる電界の影響を評価すること。

詳細情報

雌のウサギ20匹を、5.068kV/m(グループ1)及び10.182kV/m(グループ2)の電界ばく露する2群(各10匹)に無作為に分けた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 3 h/day for 6 days and then for additional 8 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 3 h/day for 6 days and then for additional 8 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 74 cm x 50 cm x 0.2 mm copper sheets on the upper and lower side of the cage
ばく露装置の詳細 70 cm x 50 cm x 20 cm wooden cage with copper sheets on the upper and lower side; wooden block under the cage for insulation
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 5.068 kV/m - 測定値 - -
電界強度 10.182 kV/m - 測定値 - -
磁束密度 0.00218 nT - 測定値 - at 5.068 kV/m
磁束密度 0.00445 nT - 測定値 - at 10.182 kV/m

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

どちらのグループでも、ばく露の6日目及び14日目に記録した振幅は、6日目の1.5kHzのクリック刺激に対するグループ1の右耳での振幅有意な低下(この影響は過渡的であった)を除いて、ばく露前と変わらなかった。ばく露の6日目及び14日目の両群の左右の耳での過渡誘発耳音響放射振幅に有意差はなかった。

超低周波電磁界にはウサギの聴覚感覚(蝸牛の機能)に対する有意な影響はない。

研究の種別:

研究助成

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