本研究は、電磁波放射線(EMR)の長期ばく露が理学療法の医療スタッフの心臓血管系に及ぼす影響を評価する目的で行われた。52人のばく露被験者(男性4人、女性48人、47.3±8.7歳)と、同様の職業特性でEMRばく露がなく、性別、年齢が適合する52人の対照群において調査が行われた。50Hz、150kHz、27.12MHz、2.45GHzで放射する機器からのEMRばく露と光学的放射からのEMRばく露が調査された。各理学療法の全周波数帯域でのEMR相対的価値が計算され、割当数量は1よりかなり大きかった。仕事量と心理社会的要因も評価された。心臓血管系リスク要因の動脈圧、脂質状態、肥満度指数、ウエスト・ヒップ比、喫煙、飲酒、栄養、心臓血管系疾患の家族歴が調べられた。高血圧の発生は調査された理学療法士では中程度だった(26.9%対23.8%対照群)。総コレステロール(TC)と低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)はばく露群ではかなり高かった。オッズ比は、EMRばく露の被験者では、脂質異常症になる高い可能性を示した[TC OR(95%CI)=1.570(1.048~2.351)、LDL-C OR(95%CI)=1.840(1.158~2.924)]。結論として、今回のデータでは、理学療法の医療スタッフのEMRばく露は心臓血管系に悪影響をもたらす可能性があることが示された。
理学療法機器からの電磁界ばく露(50Hz、150kHz、27.12MHz、2.45GHz及び光放射)を評価した。各々の理学療法における全周波数範囲に対する電磁放射の相対値を計算し、得られた割当量は参考地と比較して1よりも相当大きかった。電磁界ばく露は、理学療法機器の数、機器当たり/一人当たりでの計算値、患者の数、病棟の実際の構成に基づいて、個々に評価した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 電界ばく露のないスタッフ |
集団 2 | 電磁界放射機器を使って作業する理学療法士 |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 52 | 52 |
ばく露群では非ばく露群と比較して、総コレステロール(TC)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)のレベルが有意に上昇した。血圧または肥満度指数に有意差は認められなかった。データは、電磁界を放射する機器を用いる理学療法士では脂質異常症を発症するリスクがより高いことを示した。著者らは、理学療法における医療スタッフの電磁界ばく露は心臓血管系への悪影響と関連しているかも知れない、と結論付けた。
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