研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話と非ホジキンリンパ腫] epidem.

Cellular telephones and non-Hodgkin lymphoma

掲載誌: Int J Cancer 2006; 119 (10): 2382-2388

この研究は、米国における包括的な非ホジキンンパ腫(NHL)の症例対照研究において、携帯電話使用の評価を行った。結果として、質問票調査により確認された携帯電話使用者は、NHL症例で551人、頻度マッチングさせた対照で462人であった;携帯電話の使用経験がない人を参照群としたオッズ比OR)は、生涯での使用が10回未満でOR= 0.9(95 %信頼区間(CI):0.6-1.3)、10-100回でOR = 1.0(95 % CI:0.7、1.5)、100回以上(彼らを通常使用者とした)でOR = 0.9(95 % CI:0.6、1.4)であった;通常使用者において、週あたりの通話時間(分)、使用期間、累積使用時間、または最初に使用した年をばく露指標に用いた分析を行ったが、どのばく露指標もNHLリスク上昇に有意に関連しなかった;ただし、有意性はなかったものの、8年以上携帯電話を使用している男性においてNHLの発症はやや多かった;全NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または濾胞性NHLと携帯電話使用の関連を示す証拠は何もなかった;これらの知見は、6年以上の使用期間または200時間以上の累積使用時間を報告した人が調査集団の5 %未満であったことを踏まえて解釈しなければならない、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用と非ホジキンリンパ腫リスクとの関連を、米国における人口ベースの多拠点症例対照研究で調査した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 生涯の携帯電話使用:なし
集団 2 生涯の携帯電話使用:あり
集団 3 生涯の携帯電話使用:< 10回
集団 4 生涯の携帯電話使用:10-100回
集団 5 生涯の携帯電話使用:> 100回
集団 6 生涯の使用の合計年数:1-2年
集団 7 生涯の使用の合計年数:3-5年
集団 8 生涯の使用の合計年数:6-8年
集団 9 生涯の使用の合計年数:> 8年
集団 10 週当たりの使用の平均分数:1-20分
集団 11 週当たりの使用の平均分数:21-60分
集団 12 週当たりの使用の平均分数:> 60分
集団 13 生涯の累積使用時間:≤ 78時間
集団 14 生涯の累積使用時間:79-208時間
集団 15 生涯の累積使用時間:> 209時間
集団 16 最初の使用年:1984-1994
集団 17 最初の使用年:1995-1996
集団 18 最初の使用年:1997以降

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 905 978
参加者 551 462
参加率 79 % 55 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

参加者の5%未満が、携帯電話の使用期間を6年以上、または生涯の累積使用が200時間以上と報告した。
携帯電話使用の週当たりの分数、または生涯の累積時間と、非ホジキンリンパ腫リスクとの関連は認められなかった。携帯電話を8年以上使用したと報告した男性に、非ホジキンリンパ腫の有意ではないリスク上昇が認められた(7人の症例に基づく)。

研究助成

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