この研究は、成人における神経細胞がんの年齢調整発生率の時間的傾向を分析した。分析に利用したのは、1973年から2002年までの米国の地域がん登録システム(監視疫学最終結果(SSER)プログラム)である。これまで、いくつかの疫学研究において、神経膠腫や聴神経腫を含むほとんどの原発性脳がんのリスクは携帯電話使用とは関連しなかった。しかし、短期間の携帯電話使用によるリスク上昇が、神経上皮腫瘍について報告されている。神経上皮腫瘍は、脳がんの中で稀少な組織学的サブグループである。この報告の通り、携帯電話使用との因果関係があるとすれば、発生率が時間と共に上昇することが予想される。そこで、1973-1985年、および1986-2002年の期間の発生率を比較した。その結果、1984年からの携帯電話契約の指数関数的な増加にもかかわらず、この期間中、この疾患の発生率は変化しなかった;これらの知見は、携帯電話使用が神経細胞がんのリスクと無関係であることを示している、と報告している。
神経細胞がんは稀で、成人の脳のがん全体の約1%にあたる。神経細胞がんの既知のリスク要因はない。携帯電話使用との因果関係があれば、発生率が時間と共に上昇することが予想される。1973-1985年、及び1986-2002年の期間の発生率を比較した。
1973-1985年、及び1986-2002年の期間について年齢で調整した発生率は同等であった(標準化発生率(SIR)0.01)。1984年に始まった携帯電話使用は爆発的に増加し、米国における加入者数は2005年12月で2億を超えた。
この結果は、携帯電話使用は神経細胞がんのリスクと関連していないことを示している。
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