この研究は、長期にわたる超低周波磁界(ELF-MF)ばく露が、遺伝子p18(INK4C)の欠失/突然変異を原因とするヒトのがん発生のリスク因子であるか否かを調べた横断調査である。同じ地理的地域に住み、同様のライフスタイルを持つ30歳から40歳までの男性電気労働者(n =31:ELF-MFばく露群)および健康な男性(n =30:対照群)を対象に実施された。両群の各対象者のDNAの配列および高次構造を、ポリメラーゼ連鎖反応一本鎖高次構造多型法(PCR-SSCP)によって調べた。その結果、対照群との比較において、ELF-MFばく露群でのエクソン1のバンド移行は問題にならなかった;ただし、2人の電気労働者で、エクソン2のみが、対照群およびばく露群の他の対象者に比べ、移行が遅かった;このゆっくりした移行は、点突然変異または多型がp18(INK4C)遺伝子のこの領域に存在するかもしれないことを示唆するが、;マッチングなしの分析における相対リスク(RR)は1.069(95 %信頼区間: 0.975-1.172)であった;これらの知見は、ELF-MFの長期ばく露ががんのリスクを有意に増加させないことを示す、と報告している。
超低周波電磁界が新生物発生に干渉し得るメカニズムの一つは、がん関連遺伝子の削除/突然変異である。細胞増殖は細胞周期を通じた整然とした進行に従い、それは異なるサイクリン及びサイクリン依存性キナーゼ阻害因子によって統治される。推定される腫瘍抑制遺伝子p18INK4Cは、細胞‐サイクリン制御において重要な役割を担う、サイクリンD-サイクリン依存性キナーゼ4阻害因子複合体の特定の阻害因子をエンコードしている。各種のヒトのがんでは、これが削除/突然変異されていることがわかっている。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50–60 Hz
ばく露時間:
8 h/day for past 10 to 20 years
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Occupational exposure
周波数 | 50–60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 8 h/day for past 10 to 20 years |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | The study subjects were electric workers working at a power substation. These subjects were living 200 m away from the substation. |
Additional information | Thje control subjects were non electric worker who were not residing close to a subtation. |
No parameters are specified for this exposure.
検査した全ての被験者で、対照群と比較して、エオシン1のバンドの移動は無関係であることがわかった。但し、2人の電気的作業者のエオシン2のみ、対照群及びその他の被験者に対して移動が緩慢であった。この緩慢な移動は、p18INK4C遺伝子のこの領域に、点突然変異または多型が存在するかも知れないことを示している。
データは、長期的な超低周波電磁界ばく露はがんのリスクを有意に高めないことを示唆している。
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