この研究は、60 Hzの直線偏波の正弦波磁界(MF)が、神経細胞モデルとして十分に特徴が明らかにされている培養ウシ副腎クロム親和性細胞におけるカテコールアミン放出を変化させるか否かを調べた。真のMFばく露および擬似ばく露を同時に実験するために用意された2つのばく露装置のそれぞれ中央に細胞培養皿を置いた。4コイル型メリットコイルシステム(極めて一様性の高い磁界発生が可能)からなるばく露装置は、ミューメタル(磁気遮蔽材)で作られたチャンバ内に封じ込められ、それぞれ同等のインキュベーター内に置かれた。 磁束密度0.01、0.1、1.0、または2 mTへの15分間ばく露(または擬似ばく露)後に、ノルエピネフリンおよびエピネフリンの放出を定量した。定量には、電気化学的検出と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、Bay K-8644(カルシウムチャネル阻害剤)またはdimethylphenylpiperazinium(DMPP、ニコチン性アセチルコリンNN受容体刺激剤)の非存在下または存在下で測定を行った。その結果、2つの薬剤の存在、非存在にかかわらず、MFばく露および擬似ばく露の間に、ノルエピネフリンおよびエピネフリンの放出における有意差は見られなかった;このようにカテコールアミン放出への影響が見られなかったことは、カルシウム流出へのMFばく露の影響が見られなかったことと一貫性がある、と報告している。
以下の各群を調べた:1) 磁束密度0.01mT、2) 磁束密度0.1mT、3) 磁束密度1mT、4) 磁束密度2mT、5) 偽ばく露。各群において以下の3つのサブグループを調べた:a) 薬物なし、b) 2µMのBay K-6844(カルシウムチャネル活性化因子)、c) 10µMのジメチルフェニルピペラジニウム(DMPP、分泌応答を生じる)。加えて、異なる電流密度を得るため、ウェルの内側または外側で細胞を培養した。ばく露前の細胞は培養の1、6または8日目であった。連続的な60Hz磁界またはパルス化60Hz磁界に細胞をばく露した。全ての実験を3回反復した。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous for 15 min
|
|
ばく露2:
60 Hz
ばく露時間:
intermittent for 15 min
|
|
周波数 | 60 Hz |
---|---|
タイプ |
|
波形 |
|
偏波 |
|
ばく露時間 | continuous for 15 min |
ばく露の発生源/構造 |
|
---|---|
チャンバの詳細 | double wound, four square coil Merritt system (13.5 x 13.5 x 13 in.) placed within µ-metal enclosures that were in turn positioned within separate incubators; each set of coils had 33 turns in the outer and 14 turns in the inner coils and was supported by a plexiglas stand |
ばく露装置の詳細 | dishes containing cells were placed on a free standing acrylic platform positioned between the inner coils; cells were dispensed into either six well cultures plates (35 mm diameter) or into both the inner wells or outer wells of 60 mm culture dishes |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | turn ON/OFF transients were eliminated by ramping magnetic fields up and down over a period of 5 sec.; for individual experiments, temperature typically ranged from 28 to 32°C |
周波数 | 60 Hz |
---|---|
タイプ |
|
波形 |
|
ばく露時間 | intermittent for 15 min |
Additional information | 1.) 30 pulses each of 5 s duration, with a 5 sec duration between the pulses (pulse repetition time of 10 s) and 2 s rise and fall time 2.) 90 pulses each of 5 s duration, with a 5 sec duration between the pulses (pulse repetition time of 10 s) and 2 s rise and fall time |
ばく露の発生源/構造 |
|
---|---|
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | turn ON/OFF transients were eliminated by ramping magnetic fields up and down over a period of 5 sec.; for individual experiments, temperature typically ranged from 28 to 32°C |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
磁束密度 | 2 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
偽ばく露細胞とばく露細胞で、Bay K-8644またはジメチルフェニルピペラジニウムの存在または不在下で、ノルエピネフリンまたはエピネフリンの放出に有意差は認められなかった。偽ばく露と比較して、60Hz磁界のカルシウム流入への影響は認められなかった。加えて、調査したエンドポイントについては、ウェルの内側または外側での培養に電流密度の違いによる差は認められなかった。調査したどのパラメータについても、細胞の齢の影響は認められなかった。
著者らは、クロム親和性細胞からのカテコールアミン放出は、磁束密度が0.01-2mTの60Hz磁界に対して敏感ではない、と結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。