この研究は、携帯電話の900 MHz高周波(RF)電磁界への胎児期のばく露と、性成熟期の雄雌のラットの子孫における学習と記憶、および不安へのリナロールの保護効果について調べた。妊娠中のラットを4群に割り付けた:対照群、RFばく露群、RFばく露+リナロール投与群、リナロール投与群。投与群にはリナロールを25 mg/kgで21日間経口投与した。RFばく露群には妊娠0-21日目までばく露した。出生後50日目および60日目に行動および電気生理学的試験を実施した。その結果、妊娠中のRFばく露は、高架式十字迷路試験で不安様行動を引き起こし、モリス水迷路試験およびシャトルボックス試験で学習と記憶の障害が見られた。電気生理学的特性とシナプス可塑性は、背側海馬CA3-CA1シナプスのfEPSPの振幅と傾きの減少を示した。海馬組織でのFe、Cu、MnのレベルおよびCu/Zn比は、ばく露群で対照群よりも有意に高かった。更に、ばく露群の海馬組織のZnレベルは有意に低かった。リナロール投与は、Fe、Cu、Mn、およびCu/Zn比の過剰な増加を緩和し、微量元素の乱れたレベルを正常化したが、雄雌の子孫のZnレベルは正常化しなかった。高架式十字迷路試験およびシャトルボックス試験で性差が観察され、雌は雄よりもRFばく露に対して敏感であった。これらの結果は、携帯電話放射への胎児期のばく露が、子孫の行動、シナプス機能、微量元素バランスを乱し、リナロール投与がこれらの有害な影響を軽減する可能性があることを示している、と著者らは結論付けている。
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