[高周波電磁放射（RF-EM放射）に自然にばく露されたヒトの代謝プロファイルの解析] med./bio.

この研究は、携帯電話の高周波（RF）電磁放射へのばく露レベルに基づいて、2つの異なる微小環境を特定した。1つはばく露が非常に少ない環境、もう1つは非常に高いばく露を受けている環境である。これらの異なる微小環境に自然にばく露されたヒトの尿サンプル中の代謝物を調べた。メタボロミクス分析のため、標的外1H NMR分光法を用いて異常代謝物を特定した。合計60名の被験者を高ばく露群（n = 30）と低ばく露群（n = 30）の2つのグループに割り付け、それぞれ5 mlの尿サンプルを採取した。その結果、29の代謝物が異常に調節されていることが示された。その中で、19の代謝物は下方制御され、10の代謝物は上方制御されていた。特に、グリオキシル酸およびジカルボン酸の代謝経路とTCAサイクルの代謝経路が乱れていた。異常な代謝物はROC曲線解析を使用して検証された。標的外尿メタボロミクスを実施して、RFばく露に関連する異常代謝物を特定した。この予備的な結果は、酸化ストレスと腸内細菌叢の不均衡との関連を示唆している。但し、これらのバイオマーカーを検証し、RF放射がヒトの健康に及ぼす影響を理解するには、多様な人口集団を対象とした更なる研究が必要である、と著者らは結論付けている。