【要旨】
欧州における一般公衆のばく露は依然として、理事会勧告1999/519/ECで推奨されているばく露制限値よりも低い。
メラトニン仮説、ラジカルペアメカニズム、酸化ストレスまたはエピジェネティックな影響についての、入手可能な系統的レビューおよびメタ分析はない。疫学およびin vivo研究で観察されている、ELF[超低周波]磁界からの健康リスクに対する相互作用メカニズム(酸化ストレス、遺伝的/エピジェネティックな影響)の関与に関しては弱い証拠がある。
ヒトの健康に関して重要な生物学的反応の解釈について代謝プロセスが重要な役割を担っているin vivoモデルへの外挿の可能性がある、標準化されたばく露条件および最適化されたin vitro細胞株を用いた更なる研究が必要である。
ELF磁界と自己申告の症状についての系統的レビューまたはメタ分析は同定できなかった。ゆえに、SCENIHRの結論は依然として有効である。即ち、ELF磁界ばく露と自己申告の症状との因果関係についての説得力のある証拠はない。
主に症例対照研究に基づく、白血病とELF磁界ばく露に関する刊行済みの系統的レビューは、ELF磁界ばく露が一貫性のある、但し控えめなリスク推定値を示すことを明らかにしているが、量‐反応曲線を確立するには証拠が少なすぎた。小児白血病に関しては、疫学研究からの弱い、ないしは控えめな証拠の重みがある(主要な証拠)。しかしながら、大多数の研究で用いられている動物モデルは、小児白血病の研究には適しておらず、ゆえにこの線からは弱い証拠がある。更に、ELF磁界ばく露による悪性新生物の誘導についての相互作用のメカニズムからの弱い証拠がある。結果的に、全体として、ELF磁界ばく露と小児白血病との関連に関しては弱い証拠がある。
全体として、ELF電磁界への職業ばく露とALS[筋萎縮性側索硬化症]との間の関係についての(主にヒト研究からの)控えめな証拠、ELF電磁界への職業的ばく露とアルツハイマー病および認知症との関連についての弱い証拠があるが、居住環境ばく露とこれらの神経変性疾患についての証拠は不確か、ないしは弱い。電磁界ばく露とパーキンソン病または多発性硬化症との間には、有意な関連は確立できていない。
ELF電磁界ばく露と神経生理学的アウトカムについての系統的レビューまたはメタ分析は同定できなかった。ゆえに、潜在的影響について決定的な結論を導くことは依然としてできない。
入手可能な系統的レビューおよびメタ分析は、ELF電磁界ばく露と妊娠または生殖アウトカムとの間の関連を示していない。
IF[中間周波]電磁界ばく露の健康影響についての証拠の重みは、異なる証拠の線からの情報が矛盾している。ヒト研究に基づく決定的な結果にも到達できていない。
ELF電磁界への動植物のばく露は、それらが環境中の人工的発生源に近い場合、ヒトのばく露よりも高くなるかもしれない。更に、動植物にはヒトには存在しないプロセス受容体および構造があり、これらが種に特異的な生物学的影響を生じる可能性がある。
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