この研究は、男性、女性、雌雄同体を含むさまざまな性別の線虫(C. elegans)の脂質代謝に対する、中程度の静磁界の影響を調べた。その結果、野生型のN2線虫において、中程度の静磁界によって脂肪含量が有意に減少し、これは発育段階に関連していることが認められた。N2線虫、him-5線虫、およびfog-2線虫の脂肪滴の直径は、0.5 T静磁界の下では若年成体段階でそれぞれ19.23%、15.38%、および23.07%大きく減少した。脂肪分解関連遺伝子atgl-1およびnhr-76のmRNAレベルは静磁界ばく露によって有意に上方制御されたが、脂肪生成関連遺伝子fat-6、fat-7、およびsbp-1のmRNAレベルは下方制御された。一方、β-オキシダーゼの濃度は増加した。静磁界はβ酸化関連遺伝子のmRNAレベルに僅かに影響した。更に、インスリンおよびセロトニン経路は、TOR経路ではなく静磁界によって調節された。野生型の線虫では、0.5 T静磁界にばく露すると寿命が延長されることが示された。これらの結果は、中等度の静磁界が性別と発育段階に依存して線虫の脂肪生成と脂肪分解のプロセスを有意に変更する可能性があることを示唆しており、これは生体における中等度の静磁界の機能を理解する上で新たな洞察を提供する可能性がある、と著者らは結論付けている。
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