[ヒトMDA-MB-231乳がん細胞に対する超低周波磁界の影響:プロテオミクス特性評価] med./bio.

Effects of extremely low-frequency magnetic fields on human MDA-MB-231 breast cancer cells: proteomic characterization

掲載誌: Ecotoxicol Environ Saf 2023; 253: 114650

超低周波(ELF)磁界は、乳がん細胞を含む一部の細胞タイプに対して細胞生存率および調節プロセスを改変し得る。乳がんは多因子性疾患であるが、ELF磁界の役割は排除できない。ELF磁界は、分子メカニズムおよびシグナル伝達経路を通じて乳がん細胞の生物学的特性に影響力を及ぼすかもしれないが、これは依然として不明である。この研究は、細胞生存率分子形態、酸化ストレス反応およびタンパク質プロファイルの変化を、ELF磁界(50 Hz、1 mT、4時間)にばく露した乳がん細胞MDA-MB-231)で調べた。非腫瘍形成性ヒト乳房細胞(MCF-10A)を対照細胞に用いた。その結果、ばく露したMDA-MB-231乳がん細胞では、非ばく露細胞と比較して、生存率および生細胞数が上昇し、より高い密度および長さの糸状仮足が見られた。また、ELF磁界ミトコンドリア活性酸素種レベルの上昇、およびミトコンドリアの形態の変化を生じた。プロテオミクスデータ分析では、ELF磁界がMDA-MB-231細胞で328個のタンパク質、MCF-10A細胞で242個のタンパク質発現を変化させることが示された。遺伝子オントロジーエンリッチメント分析では、どちらの細胞株でもELF磁界ばく露が「焦点接着」および「ミトコンドリア」が豊富な遺伝子上方制御させることが示された。ELF磁界ばく露はMDA-MB-231細胞の接着特性を低下させ、遊走および浸潤細胞の能力を上昇させた。同時に、リアルタイムPCRで確認したプロテオミクス分析では、細胞の再プログラミングに関連する転写因子がELF磁界ばく露後、MDA-MB-231細胞では上方制御され、MCF-10A細胞では下方制御されることが示された、と著者らは報告している。

ばく露