この研究は、若齢ラットの脳に対する高周波(RF)電磁界の影響を調べた。5週齢の雄のWistarラットを2115 MHzのRF信号に頭部での平均比吸収率(SAR)が1.51 W/kgで8時間連続ばく露した。その結果、ばく露群のラットの脳での脂質過酸化、炭素中心の脂質ラジカル、DNA一本鎖切断が認められた。ばく露群の歯状回(DG)でのBrdU[ブロモデオキシウリジン:DNAの前駆物質、増殖細胞の検出ツールの一つ]陽性細胞数の減少が認められ、神経新生の減少が示された。RFばく露はDGニューロンにおける変性変化および神経細胞の喪失も生じたが、海馬および大脳皮質のCA3およびCA1ニューロンへの影響は認められなかった。プロ-カスパーゼ3[カスパーゼ-3の不活性型の前駆体]は脳のどの部位でもばく露による増加はなく、これはDG領域で認められた変性はカスパーゼ活性化に依存しないことを示している。これらの結果は、RF電磁界への短期間のばく露は炭素中心の脂質ラジカルの産生および細胞核DNA損傷を生じることを示しており、これらは両方とも、若齢ラットの海馬領域で見られた神経新生の阻害および神経細胞の変性において役割を担っている可能性が高い、と著者らは結論付けている。
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