既存のデータから、電磁界ばく露が中程度のストレスを与え、視床下部‐下垂体‐副腎(HPA)軸の乱れに寄与している可能性が示されている。HPA軸の活性を調節する重要な制御経路には、二種類の副腎皮質ホルモン受容体(電解質コルチコイド(MR)受容体および糖質コルチコイド(GR)受容体)が含まれる。これらは特に、HPA軸フィードバック制御の重要な場所である海馬に豊富に存在する。この研究は、1) 電磁界がホルミシス(その強度(1または7 mT)に応じた双方向性の作用)を示すかどうか、2) 反復的な電磁界ばく露がその後のストレス因子に対するストレス反応を変化させるかどうか、を調べた。成体ラットへの電磁界ばく露(1 mTおよび7 mT、1時間/日、7日間)を3回繰り返し、各回のばく露後にHPA軸ホルモンとその受容体を分析した。その後のストレス因子に対するホルモンおよび行動学的反応に対する電磁界ばく露の影響を、オープンフィールド試験で評価した。その結果、電磁界ばく露はHPA軸の活性に対する新たな「セットポイント」を確立し得ることが示された。このプロセスの方向と動態は、電磁界の強度とばく露の回数に依存した。1 mTの電磁界は適応応答を生じたが、7 mTは鋭敏化を生じた。従って、電磁界はその後のストレス因子に対する生物の脆弱性を変化させた。また、1 mTばく露群の海馬におけるMRのmRNAの豊富さの増加も認められ、これは神経防護反応の可能性を示している可能性があり、電磁界の治療特性を示唆している、と著者らは結論付けている。
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