ミクログリアCX3Cケモカイン受容体1(CX3CR1)は、脳の恒常性や成体の海馬の神経新生を調節するシグナル伝達経路を含む多くの細胞メカニズムに関与している。この研究は、電磁界にばく露したマウスでの熱順応による成体の海馬の神経新生におけるミクログリアCX3CR1シグナル伝達の役割を調べた。その結果、電磁界ばく露は海馬の歯状回での増殖細胞および分化細胞の数を有意に減少させ、神経新生率を低下させることが示された。更に、ばく露したマウスの脳では、活性化したミクログリアの表現型の変化およびCX3CR1の発現レベルの低下が認められたが、サーチュイン1(SIRT1)には変化は認められなかった。熱順応処理は電磁界ばく露後のミクログリアの表現型を改善し、CX3CR1の発現レベルを回復させ、海馬の神経新生率の低下を改善した。CX3CR1およびSIRT1を薬理学的に阻害したところ、電磁界ばく露と熱順応後のCX3CR1の発現レベルの回復や海馬の神経新生の改善は生じなかった。これらの結果は、電磁界ばく露後の成体の海馬の神経新生に対する熱順応の交差耐性保護効果にはミクログリアCX3CR1が関与していることを示している、と著者らは結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。