鋳造労働者は多くの職業的健康ハザードにばく露され、それらはがん、呼吸器疾患およびその他の疾患のリスク上昇を生じ得る。それらの疾患の病因には酸化ストレスが関与していることが知られている。この研究は、鋳造労働者の各種の職業的ばく露と、酸化的DNA損傷のバイオマーカーとしてのDNA修復遺伝子の発現との関連を、鋳造労働者17人およびマッチングした対照群27人について調べた。抹消血中の8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ-1(OGG1)、イノシン三リン酸ピロリン酸(ITPA)、およびMutTホモログ1(MTH1)の発現を、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)で調べた。米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の標準的方法に従い、金属に富む粒子状物質へのばく露の判定のための空気サンプルの採取、および超低周波(ELF)電磁界の測定を実施した。その結果、粒子状物質への職業的ばく露は76%の職場で許容限度値(TLV)を超えていたが、ELF電磁界ばく露はTLVよりも低いようであった。鋳造労働者では対照群と比較して、ITPAが有意に上方制御されたが、OGG1およびMTH1には有意差は認められなかった。更に、鋳造労働者のITPAには金属に富む粒子状物質の濃度と強い正の相関が認められた。ELF電磁界ばく露とDNA修復遺伝子の発現との有意な相関は認められなかった。DNA修復遺伝子は職業的ばく露に対する敏感なバイオマーカーである可能性があることから、金属による毒性の誘発における酸化ストレスの関与が示唆される、と著者らは結論付けている。
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