先行研究では、30 mW/cm^2のマイクロ波がラットの海馬構造への損傷や神経機能障害を生じ得ることが報告されている。一方、Astragalus membranaceus[キバナオウギ:生薬の一種]の精製物であるアストラガロシドの神経防護作用が神経変性疾患の動物モデルで示されている。この研究は、30 mW/cm^2のマイクロ波によるラットの空間学習および記憶能力の障害が、アストラガロシドによって緩和されるかどうかを調べた。病理学的分析の結果、アストラガロシドは、ミトコンドリアの膨潤およびキャビテーション、小胞体の膨潤および拡張、シナプス間隙の消失、小胞の凝集といった、マイクロ波による障害からニューロンを保護することが示された。更に、マイクロ波によるシナプスの構造的損傷が、重要な神経伝達物質であるアセチルコリンの下方制御を生じる一方、アストラガロシドはシナプスの構造を保護しうること、また、ラットの海馬でのアセチルコリンのレベルを回復させることが示された。加えて、アストラガロシドはマイクロ波ばく露後の脳電図(EEG)の回復を加速した。これは、アストラガロシドがニューロン機能の正常化を促進しうることを示している。アストラガロシドはラットの海馬の形態学的構造を保護し、アセチルコリンのレベルを回復させ、脳機能を改善し得る、と著者らは結論付けている。
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