研究のタイプ: 疫学研究

[高圧架空電力線の近傍での電界および空気イオンばく露と成人のがん:イングランドおよびウェールズにおける症例対照研究] epidem.

Electric field and air ion exposures near high voltage overhead power lines and adult cancers: a case control study across England and Wales

掲載誌: Int J Epidemiol 2020; 49 Suppl 1: i57-i66

高圧架空電力線から生じる電界および荷電イオン成人がんリスクとどのように関連し得るかを説明するため、様々なメカニズムの仮説が提唱されているが、これまで大規模な疫学研究での系統的な探索は実施されてこなかった。この研究は、英国のイングランドおよびウェールズ地方における1974-2008年の成人がんリスクを、高圧架空電力線から600 mでのモデル化したイオン濃度(cm^3あたり)(口腔、肺、呼吸器系がんに集中して分析)、ならびに25 mでの電界計算値(悪性黒色腫以外の皮膚がんに集中して分析)との関連で調べた。その結果、空気イオン濃度が5段階中の最高位(0.504-1)の群を、最低位(0-0.01879)の群と比較したところ、年齢、性別、貧困および過疎について調整したオッズ比OR)は、口腔がんについて0.94(95%信頼区間(CI)= 0.82-1.08)から、呼吸器系がんについて1.03(95% CI = 0.97-1.09)の範囲で、リスク傾向は認められなかった。代替モデルから推定したコロナイオン[訳注:送電線等からの発光(コロナ)を伴う放電により電離イオン化)した大気構成分子]を用いたがんリスクのパターンも同様であった。ケラチノサイト癌腫については、電界強度が3段階中の最高位(1.06-4.11 kV/m)の群を、最低位(<0.70 kV/m)の群と比較したところ、調整後のORは1.23(95% CI = 0.65-2.34)で、リスク傾向は認められなかった。これらの結果は、電力線の近傍での空気イオン濃度または電界成人がんリスクと関連している、という仮説を支持する証拠を提示していない、と著者らは結論付けている。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 air ion density: 0 - 0.1879 per cm 3
集団 2 air ion density: 0.188 - 0.2869 per cm 3
集団 3 air ion density: 0.287 - 0.3849 per cm3
集団 4 air ion density: o.385 - 0.503 per cm3
集団 5 air ion density: 0.504 - 1 per cm3
参照集団 6 electric field strength: < 0.70 kV/m
集団 7 electric field strength: 0.70 - 1.05 kV/m
集団 8 electric field strength: 1.06 - 4.11 kV/m

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
合計 57,361 47,507
統計学的分析方法: (調整: )

研究助成

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