先行研究では、携帯電話の無線周波(RF)電磁界が、げっ歯類のアルツハイマー病(AD)モデルにおける記憶障害を修正することが示唆されている。この研究は、ADのサマリアンラットモデルを用いて、電磁界ばく露がコルチコステロン及び酸化ストレスを通じて記憶を修正するという仮説を検証した。雄のLong-Evansラットに対し、硫酸第一鉄、アミロイドベータ(Aβ)1-42ペプチド、ブチニオン‐スルホキシミン(ADラット)または溶媒(対照ラット)を脳室内注入した。携帯電話を模したRF電磁界を拘束下のラットの頭部に脳平均比吸収率(BASAR)で1.5 W/kg(15分間)、6 W/kg(15分間)または6 W/kg(45分間)、5日間/週、1か月間ばく露した。擬似ばく露群は45分間拘束した。エンドポイントは、放射状迷路における空間記憶、血漿コルチコステロン、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO1)、及びアミロイド斑とした。その結果、擬似ばく露群のADラットでは対照ラットと比較して、コルチコステロンのレベルは同等であったが、記憶力は低下し、チオフラビン及びHO1染色は増大した。皮質のHO1染色の相関的増大はRFばく露群の対照ラットのみで見られた。ADラットでは、RFばく露は海馬のHO1染色の相関的増大、及びコルチコステロンの減少を生じた。これらのデータからは、ADラットにも対照ラットにも、RF電磁界ばく露後の記憶の修正は認められなかった。対照ラットとは異なり、ADラットでは高BASARばく露群において、海馬での酸化ストレスの増大、ならびにコルチコステロンの減少が認められた、と著者らは報告している。
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