電磁界は小児白血病のリスク上昇と関連付けられているが、この病気はしばしば前白血病融合遺伝子(PFG)を通じた造血系幹細胞における突然変異から生じる。この研究は、携帯電話から発せられるマイクロ波が、CD34+造血系幹細胞/前駆細胞を含む臍帯血細胞において、活性酸素種(ROS)、DNA一本鎖及び二本差切断、PFG、アポトーシスを含む細胞損傷の各種の生化学マーカーを生じ得るかどうかを調べた。臍帯血細胞を検査用のGSM 900/UMTS携帯電話からのマイクロ波パルス化信号(1947.4 MHz、SAR 40 mW/kg)にばく露し、ROS、アポトーシス、DNA損傷、PFGを、フローサイトメトリ、自動化蛍光顕微鏡、イメージングフローサイトメトリ、コメットアッセイ、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-qPCR)で分析した。その結果、全体として、DNA損傷、PFG及びアポトーシスについては、ばく露群と疑似ばく露群で持続的な差は認められなかった。ROSレベルの上昇が1時間のUMTSばく露後に認められたが、3時間のばく露後には認められなかった。また、ROSレベルは細胞の分化の程度の高さに伴い上昇することが認められた。これらのデータは、パルス化マイクロ波にばく露した臍帯血細胞には一過性のROSレベル上昇を生じるが、これは持続的なDNA損傷及びアポトーシスには至らないことを示している、と著者らは結論付けている。
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