先行研究で著者らは、50 Hz磁界ばく露が細胞膜での表皮成長因子受容体(EGFR)のクラスタリング及びリン酸化を生じることを見出した。この研究は、磁界によるEGFRクラスタリングにおいて活性酸素種(ROS)が担っているかも知れない役割を調べた。ヒト羊膜上皮(FL)細胞を、N-アセチル-L-システイン(NAC)またはピロリジンジチオカルバメート(PDTC)の有無で50 Hz磁界にばく露した。細胞膜表面でのEGFRクラスタリングを、間接的な免疫傾向染色後に共焦点顕微鏡で分析した。細胞内ROSレベル及び酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASMase)活性を、活性酸素種アッセイキット及びAmplex赤色スフィンゴミエリナーゼアッセイキットでそれぞれ調べた。その結果、FL細胞の50 Hz、0.4 mT磁界への15分間のばく露は、ROSレベルを有意に高め、EGFRクラスタリングを生じ、ASMase活性を高めた。但し、ROSのスカベンジャーであるNACまたはPDTCでの前処理は、ROSレベル及びAMS活性に対する50 Hz磁界の影響を相殺するだけでなく、磁界ばく露によるEGFRクラスタリングも阻害した。この結果は、ROSはASMase活性化を通じて、磁界によるEGFRクラスタリングに介在していることを示唆している、と著者らは結論付けている。
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