[弱い超低周波電磁界によるシグナル伝達カスケードの活性化] med./bio.

Activation of Signaling Cascades by Weak Extremely Low Frequency Electromagnetic Fields

掲載誌: Cell Physiol Biochem 2017; 43 (4): 1533-1546

最近の研究結果は、超低周波(ELF)磁界増殖制御に関連する細胞内シグナル伝達経路干渉することを示唆している。本質的に全ての細胞プロセスを制御する中心的なシグナル伝達成分である、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼMAPK)には、細胞外の合図に極めて敏感な細胞シグナル調節キナーゼ1/2(ERK1/2)が含まれる。この研究は、形質転換および非形質転換の各種の細胞型のELF電磁界への応答の読み出しとして、ERK1/2およびその他のシグナル伝達カスケードの活性化を用いることができるかどうかを調べた。インキュベータ内に設置したばく露装置内の8種類の細胞に、様々な強度およびばく露時間のELF磁界を適用し、ウェスタンブロット法でMAPKおよびAktのリン酸化を追跡した。その結果、ELF磁界に応じたERK1/2のリン酸化の増加が認められたが、ELF磁界依存性の増殖または腫瘍性形質転換を生じるには低すぎると見られた。P38MAPKは極僅かにリン酸化されたが、JNKまたはAktはリン酸化されなかった。ERK1/2への影響は、ELF磁界強度が0.15 µT程度から10 µT程度のばく露について認められた。また、ERK1/2のリン酸化はフラビンタンパク質阻害剤のジフェニレンヨードニウムによってブロックされることが認められた。このことは、マイクロ波放射に対するERK1/2のリン酸化と同様に、ELF磁界への応答はNADPオキシダーゼを介して生じるかも知れないことを示している、と著者らは報告している。但し、この結果を、がん全般または特に小児白血病におけるELF磁界の関与の証拠と見なすことはできない、と著者らは述べている。

ばく露

関連論文