この研究は、上海の繊維産業の女性労働者コホートにおける職業的磁界ばく露と乳がんリスクの関連を調べたコホート内症例対照研究である。上海の繊維産業における粉塵、化学物質、他の物理因子へのばく露についての一連の症例コホート研究から派生したものである。コホートは、上海繊維産業局(STIB)登録の503工場の女性従業員267400人(1989-1991年に募集;1925-1958年生まれの上海永住者で、現職および退職者を含む)である。コホート加入時に、人口学的変数、生活習慣、生殖関連歴、その他の想定される乳がんリスク要因に関する情報について質問票によるベースライン調査を行った。1989-2000年における乳がん発生症例とその発症日を各種医療記録、がん登録、死亡登録から確認した。コホートから症例にマッチさせた対照をコンピュタ抽出した。ミシン、紡績機、および繊維加工機械などの磁界発生源についての職場-ばく露マトリクスと自己申告の職業履歴を突き合わせて、磁界ばく露を評価した。症例は1687人、対照は4702人であった。コックス比例ハザードモデルを用いて、全就業年数中の累積ばく露のハザード比を推定した。その結果、磁界の累積ばく露と全体的乳がんリスクに関連は見られなかった; 累積ばく露分布の最低4分位群に対する最高4分位群のハザード比は1.03(95% 信頼区間:0.87-1.21)であった、と報告している。
グループ | 説明 |
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参照集団 1 | 累積磁界ばく露の第1四分位: > 0 - 2.70 µT-年 |
集団 2 | 累積磁界ばく露の第2四分位: > 2.70 - 4.13 µT-年 |
集団 3 | 累積磁界ばく露の第3四分位: > 4.13 - 6.24 µT-年 |
集団 4 | 累積磁界ばく露の第4四分位: > 6.24 µT-年 |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 1,763 | 4,780 |
調査した102地点全体についての磁界ばく露の平均レベルは0.25µTで、102地点の幾何平均は0.02-0.9µTの範囲であった。磁界ばく露が最も高い地点は、紡績機械作業従事者(0.9µT)及びミシン作業従事者、(0.81µT)であった。
磁界への累積ばく露と乳がんの全体的なリスクとの関連は認められなかった(グループ4についてのハザード比:1.03、CI 0.87-1.21)。乳がんの診断時の年齢でばく露を階層化した場合にも、同様の知見が認められた。
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