この研究は、脂質二重膜の透過性に対する53.37 GHzのミリ波放射の影響を、カチオン性リポソームを用いて調べた。リポソーム内部に炭酸脱水酵素(CA)を含ませ、この酵素を触媒とした反応の基質であるp-ニトロフェニルアセテート(p-NPA)をバルク水相に添加した。脂質二重膜の透過性によって、内部に取り込まれているCAが触媒反応を起こし、p-NPAを反応生成物に変換する。CAの反応速度(ΔA/min)を膜透過性変化の指標とした。その結果、電力密度0.1 mW/cm2 でΔA/minが有意に上昇した;リポソームの直径が大きくなるほど上昇の程度は小さくなったことから、膜透過性の変化におけるグリセロール領域の官能基結合水分子の役割が示唆された、などの知見を報告している。温度の上昇は無視できる程度であったことを数値計算ドシメトリで確認したと述べている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。