この研究は、1996年以前に携帯電話契約を所有するデンマークの全住民における多発性硬化症(MS)のリスク・予後・症状に関する疫学調査の結果を報告している。非契約者群に対する契約者群(405971人、追跡期間400万年、この期間の86%は男性のもの)の発症率比(IRR)と死亡率比(MRR)を算出した結果、全男性契約者のIRRは、全体でも、契約から13年以上の場合でも1に近い一方、契約から13年以上の女性でのIRRは3.43 (95% CI: 0.86-13.72)であった(これは2症例に基づくものである);二重視、疲労などMSの症状のIRRには若干上昇したものがあった;全体としてのMRRはほぼ1であるが、女性では小数症例に基づくある程度のMRR上昇が見られた、などの所見を報告している。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 被加入者 |
集団 2 | 加入保持者 |
集団 3 | 加入年数: < 1年 |
集団 4 | 加入年数: 1-3年 |
集団 5 | 加入年数: 4-6年 |
集団 6 | 加入年数: 7-9年 |
集団 7 | 加入年数: 10-12年 |
集団 8 | 加入年数: ≥ 13年 |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 723,421 |
適格者 | 420,086 |
400万人-年
デンマークの全国規模の携帯電話加入者のコホート研究では、加入者の多発性硬化症またはそれによる死亡の全体的なリスク上昇は認められなかった。女性のサブグループでは、長期加入者における多発性硬化症、症状及び死亡の若干のリスク上昇が認められたが、これらの分析では数が少なく、偶然による知見だったかも知れない。
携帯電話ユーザーの多発性硬化症の最初の症状は非加入者と異なり、加入者は女性でけん怠感、男性で視神経炎の増加、また男女どちらも複視をより多く有していた。
著者らは、携帯電話使用と多発性硬化症のリスクまたは多発性硬化症の患者における死亡との関連についての証拠はほとんど認められなかった、と結論付けた。多発性硬化症の症状は加入者と非加入者で異なっていた。これは更なる注目に値するが、数が少なかったことと、男女で一貫性がないことから、因果関係の解釈を妨げている。
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