[低レベル磁界による細胞の過酸化水素産生の変調] med./bio.

Modulation of hydrogen peroxide production in cellular systems by low level magnetic fields

掲載誌: PLoS One 2011; 6 (8): e22753

【背景】がん細胞では活性酸素種ROS)の産生増加および酸化還元状態の変化が継続的に観察される。これはがん細胞の成長にROSが係わるかも知れないことを示唆している。その一方、最近の研究は、がん細胞にROS過剰を誘導することを治療効果に利用する可能性を示唆している。進行期のがん細胞では多くの場合、複数の遺伝子変異と高い酸化ストレス状態が見られ、これは、ROS産生を制御することによりがん細胞の成長を差別的に変化させることが可能であるかも知れないことを示唆している。正常細胞の成長および生存にとってもROSが低レベルであることは重要である。【方法】ヒトの線維肉腫細胞株HT1080と膵がん細胞株AsPC-1、およびウシ血管内皮細胞(PAEC)初代培養株において、地磁気抑制した状態(ミューメタル製シリンダーで磁気シールドし、シリンダー内の磁界強度を0.2 μT - 2 μTに管理した場合)と地磁気レベル(ヘルムホルツコイルで発生させた45 μT- 60 μT、方向は培養面に垂直)にばく露した状態での過酸化水素H2O2)の産生を調べた。【結果】地磁気抑制した場合、がん細胞株およびPAECでH2O2の産生が低下した。カタラーゼおよびスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)であるMnTBAPを添加すると磁界の影響は阻害された。磁界によるROS産生の変化は、生物医学的研究および治療法の開発の新たな議論になるかも知れない。

ばく露

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