[300 mT静磁界にばく露した培養ヒト臍帯静脈内皮細胞における遺伝子発現プロファイル] med./bio.

Gene expression profile in cultured human umbilical vein endothelial cells exposed to a 300 mT static magnetic field

掲載誌: Bioelectromagnetics 2012; 33 (1): 65-74

【背景と目的】我々は先の研究で、中程度の強度(300 mT)の静磁界SMFばく露はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)に一過性のDNA損傷を生じさせ、ミトコンドリア新生をプロモートすることを報告した。今回はこの反応についてさらに理解を深める。【方法と結果】4時間のSMFばく露後に細胞誘導される代表的遺伝子の高品質差分化cDNAライブラリを作成した結果、網羅的遺伝子発現プロファイルから、いくつかの遺伝子がSMFばく露後に誘導されたことが示された。特性が明らかになったクローンは、細胞の代謝、エネルギー、成長/分裂、転写タンパク質合成、運搬、保管、細胞膜傷害、DNA損傷/修復、酸化ストレス反応に関与するものであった。4時間および24時間ばく露後の細胞から選択した4つの遺伝子について、定量的実時間PCR(qRT-PCR)実験を行った結果、それらの発現プロファイルから、SMFに対するHUVECsの反応は一過性であることが示された。さらに、対照の細胞に比べ、細胞成長および分裂に関与するいくつかの遺伝子の上方調節が観察された。この上方調節は、ばく露後12時間での細胞増殖を僅かながら、有意に増加させるらしい。【結論】今回の結果は、SMFがヒトの健康におそらく無害であろうという考えを追加的に支持するものであり、医学的治療への利用の根拠を支持するものかも知れない。

ばく露