【目的】近赤外分光法(NIRS)により、ヒトの脳(聴覚領域)の血流に対する間欠的UMTS電磁界(UMTS-EMF)の影響の可能性を、2つの時間的スケールで評価すること。一つは短期(80秒以内に生じる影響)、もう一つは中期(80秒から30分以内に生じる影響)である。短期のスケールでは、ばく露中に相互影響が何も生じない実時間でのUMTS-EMFの急性の影響の可能性を評価する。【方法】管理され、無作為化されたクロスオーバーの2重ブラインド方式で、16人の健康なボランティアは3つのばく露(擬似、0.18 W/kg、1.8 W/kg)を受けた。同時に、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、および総ヘモグロビンの濃度( [O2Hb]、 [HHb]、[tHb])、心拍数(HR)、主観的な安寧度・疲労感、数を数える速さ(実験開始時に2000から降順で数えさせ、12分後と実験終了時の数を報告)を記録した。各ばく露条件での実験時間は、ばく露前ベースライン測定3分+(ばく露20秒+リカバリー60秒)×16回+ばく露後ベースライン測定6分で約31分間であった。1日につき1ばく露条件の実験を行い。実験4日目は運動野活動測定を実施した。【結果】0.18 W/kgのばく露中に、Δ[O2Hb]、Δ[tHb]の有意な短期的上昇が見られたが、機能的な脳活動に比べ小さい上昇(17%)であった。0.18 W/kgおよび1.8 W/kgのばく露では、中期的反応として、Δ[HHb]の有意な低下が検出されたが、生理的なゆらぎの範囲内であった。中期的なΔHRは、1.8 W/kgばく露において擬似ばく露より有意に高くなった(+1.84 bpm)。その他のパラメータに有意な影響は見られなかった。【結論】今回の結果は、UMTS-EMFへの間欠的ばく露は、脳血流およびHRに対し、短期および中期的に小さな影響があることを示した。本文からの追加情報脳に対するGSM携帯電話の電磁界(GSM RF-EMF)の影響を調べた研究は多数ある。睡眠時脳波および覚醒時脳波について、有意な影響を報告した研究と影響が見られないと報告した研究がある。またポジトロンエミッションCT(PET)による局所的脳内血流(rCBF)は、GSM RF-EMFへのばく露の30分後に有意に上昇したが[Huber他2002, 2005]、その他の部位では減少した[Aalto他2006]。別の研究はrCBFの減少を計測したが、これはおそらく見せかけの聴覚効果であろう[Haarala他2003]。UMTSのEMFについての研究は1件だけあるが、rCBFの変化は観察されなかった[Mizuno他2009]。PETは時間分解能が低い(15-30分)ため、ゆっくりした作用の研究に適する。血液の濃度や酸素化の変化をもっと速い時間分解能(100Hz)で測定する方法が近赤外分光法(NIRS)である。近赤外線(波長650-950 nm)は、少なくとも2.5cm程度の比較的深部の組織まで透過するので、脳の研究が可能になる。2波長を用いて、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化(Δ[O2Hb]、Δ[HHb])を計測することで総ヘモグロビン量の変化(Δ[tHb]= Δ[O2Hb]+Δ[HHb])が分かる。[tHb]は、脳血液量(CBV)と線形的に、脳血流(CBF)と指数関数的に相関する。CBFと脳酸素代謝率(CMRO2)の変化は、Δ[O2Hb]とΔ[HHb]の変化と反対になる。[O2Hb]、[HHb] および[tHb]は生理学的変化、すなわち体温、代謝、および神経血管カップリング(神経活動が活性化した脳部位に酸素や栄養基質を供給するため局所脳血流量を増加させる機構)による脳活動の変化に非常に鋭敏に反応する。いくつかの研究が、機能的NIRS(fNIRS)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、およびPETが高度に一致することを示している。なお、NIRおよびfNIRのセンサー部は完全に光学的に作られているので、EMFの影響は受けない。
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To study the potential effects of intermittent UMTS electromagnetic fields on blood circulation in the human head (auditory region) on two different timescales: short-term (effects occurring within 80 s) and medium-term (effects occurring within 80 s to 30 min).
16 healthy male subjects participated. Each subject encountered four different conditions on four different days at the same time of day: (i) SAR of 1.8 W/kg, (ii) SAR of 0.18 W/kg, (iii) sham exposure, and (iv) motor activation measurement (20 s finger tapping instead of exposure).
周波数 | 1.9 GHz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 16 cycles: 20 s exposure (ON), 60 s recoveries (OFF) |
Modulation type | cf. additional information |
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Additional information |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | test person wore ear plugs; antenna fixed near to subject's ear |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
During exposure to 0.18 W/kg, a significant short-term increase (within 80 s) in oxy-heamoglobin and total haemoglobin was found, which was small (approximately 17%) compared to a functional brain activation (condition iv). A significant decrease in the medium-term response of deoxy-haemoglobin at 0.18 and 1.8 W/kg exposures was detected, which was in the range of physiological fluctuations. The medium-term heart rate was significantly higher at 1.8 W/kg than for sham exposure. The other parameters showed no significant effects.
The data suggest that intermittent exposure to UMTS electromagnetic field has small short- and medium-term effects on cerebral blood circulation and heart rate.
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