[超低周波電磁界は脂質結合型炭酸脱水酵素に影響する] med./bio.

Extremely low-frequency electromagnetic fields affect lipid-linked Carbonic anhydrase

掲載誌: Electromagn Biol Med 2011; 30 (2): 67-73

【背景】ここ数年、様々な酵素活性に対する超低周波電磁界(ELF-EMF)の影響が調べられている。それによれば、膜繋留型の酵素のみにおいて、最大50%までの活性の低下が見られている。【目的と方法】ウシ肺の膜の炭酸脱水酵素群(CA)に対するELF-EMFの影響を調べた。炭酸脱水酵素群は亜鉛を含む14個のアイソザイム群で、二酸化炭素の可逆的な水和反応(二酸化炭素+水=炭酸イオン水素イオン)を触媒する。それぞれのCAは、触媒反応および細胞膜局在性が異なり、IV、IX、XII、XIV、XV型は膜結合型である。特に肺に見られるIV型は細胞膜に結合したグリコシルホスファチジルイノシトールであり、ELF-EMFによる抑制の候補である。【結果】様々な強度の75 Hzの電磁界へのばく露により膜のCA活性の減少が起きた。それは再現性があり、17%までの酵素活性の低下が見られ、閾値は約0.74mTであった。酵素活性の低下は電磁界持続時間とは無関係であり、完全に可逆的であった。酵素を含む材料をTritonで溶かした場合、電磁界のCA酵素活性への影響は失われた。このことは、CA不活性化の条件決定において膜および膜への酵素結合の特定の形式が決定的に重要であることを示している。【結論】今回の結果は、標的器官におけるCA抑制生理学的影響の可能性に関する議論の材料になる

ばく露