【背景と目的】電磁界は軟骨組織に有益な作用を及ぼすことが示されている。今日、軟骨修復の代替アプローチとして分化したヒト間葉系幹細胞(hMSC)が検討されている。この研究では、軟骨細胞へ分化しつつあるhMSCに対する電磁界の影響を調べる。【方法】継代5代目および6代目のhMSCをペレット培地で、ヒト線維芽細胞成長因子2(FGF-2)およびヒト形質転換成長因子b3(TGF-b3)を添加して分化させた。ソレノイドコイルで発生させた一様な正弦波ELF磁界(5 mT)に培地をばく露させるか、あるいはコントロールシステム内に培地を保管した。培養3週間後、軟骨形成を評価した。評価方法には、トロイジンブルーとサフラニンOによる染色、免疫組織化学検査、軟骨組織特異タンパク質の定量的実時間ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、グリコサミノグリカン(GAG)のDMMB色素結合アッセイを用いた。【結果】磁界ばく露下で6代目のhMSCはコラーゲン・タイプII発現の有意な上昇を示した。アグリカンおよびSOX9発現はばく露後に有意な変化を示さなかった。コラーゲン・タイプX発現は磁界ばく露下で低下した。磁界ばく露された5代目のペレット培地は、ばく露無しの培地に比べ、GAG/DNAの含有量が高かった。【結論】hMSCの軟骨細胞への分化は、コラーゲン・タイプII発現および培地のGAG量に関して、電磁界により増進されるかもしれない。電磁界は、hMSCの軟骨細胞への分化を刺激し維持する1つの方法であるかも知れず、軟骨の組織工学に関する再生医療において新しい方法を提供するかも知れない。
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