この研究は、急性非リンパ性白血病リスクと携帯電話使用との関連を調査したイングランド南東部での症例対照研究である。2003~2009年に18~59歳で白血病を発症した症例806人(適格と同定された内の50%)と対照585名(392症例から得られた非血縁の親戚)に対し、携帯電話使用ならびにその他の病因となり得る変数について聞き取り調査を行った。その結果、規則的な携帯電話使用と白血病リスクとの間に関連はなかった(オッズ比[OR]=1.06、95%信頼区間[CI] 0.76-1.46);最初の使用からの年数、生涯での使用年数、累積通話回数、累積使用時間による有意なリスク上昇はなく、何らかの傾向性の徴候もなかった;最初の使用は15年以上前という人で、有意ではないリスク上昇が見られた(OR=1.87、95% CI 0.96-3.63);アナログ機およびデジタル機別の分析も全体として同様な結果であった、と報告している。
携帯電話の定常的使用は、少なくとも6か月にわたって少なくとも週に1回と定義した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 使用経験なし、または非定常的使用 |
集団 2 | 定常的使用 |
集団 3 | 最初の使用からの年数: 0.5 - 4年 |
集団 4 | 最初の使用からの年数: 5 - 9年 |
集団 5 | 最初の使用からの年数: 10 - 14年 |
集団 6 | 最初の使用からの年数: ≥ 15年 |
集団 7 | 生涯の使用年数: 0.5 - 4年 |
集団 8 | 生涯の使用年数: 5 - 9年 |
集団 9 | 生涯の使用年数: 10 - 14年 |
集団 10 | 生涯の使用年数: ≥ 15年 |
集団 11 | 累積通話件数: < 5350 |
集団 12 | 累積通話件数: 5350 - 16062 |
集団 13 | 累積通話件数: > 16062 |
集団 14 | 累積使用時間: < 284 |
集団 15 | 累積使用時間: 284 - 1156 |
集団 16 | 累積使用時間: > 1156 |
症例 | 対照 | |
---|---|---|
適格者 | 1,660 | 781 |
参加者 | 806 | 589 |
参加率 | 50 % | 75 % |
全体として、定常的な携帯電話使用と白血病のリスクとの関連は認められなかった(OR 1.06、CI 0.76-1.46)。最初の使用からの年数、生涯の使用年数、累積通話件数、累積使用時間に関連したリスクの分析では、有意なリスク上昇は認められなかった。携帯電話を15年以上前に初めて使用した人々のサブグループにのみ、有意ではないリスク上昇が認められた(OR 1.87、CI 0.96-3.63)。
著者らは、携帯電話使用は白血病のリスクを高めないが、生物学的にはありそうにないものの、長期的な使用後の影響の可能性は残されている、と結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。