研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用に関連した白血病のリスクについての症例対照研究] epidem.

A case-control study of risk of leukaemia in relation to mobile phone use

掲載誌: Br J Cancer 2010; 103 (11): 1729-1735

この研究は、急性非リンパ性白血病リスク携帯電話使用との関連を調査したイングランド南東部での症例対照研究である。2003~2009年に18~59歳で白血病を発症した症例806人(適格と同定された内の50%)と対照585名(392症例から得られた非血縁の親戚)に対し、携帯電話使用ならびにその他の病因となり得る変数について聞き取り調査を行った。その結果、規則的な携帯電話使用と白血病リスクとの間に関連はなかった(オッズ比[OR]=1.06、95%信頼区間[CI] 0.76-1.46);最初の使用からの年数、生涯での使用年数、累積通話回数、累積使用時間による有意なリスク上昇はなく、何らかの傾向性の徴候もなかった;最初の使用は15年以上前という人で、有意ではないリスク上昇が見られた(OR=1.87、95% CI 0.96-3.63);アナログ機およびデジタル機別の分析も全体として同様な結果であった、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用に関連した白血病リスクを調査するため、英国において症例対照研究を実施した。

詳細情報

携帯電話の定常的使用は、少なくとも6か月にわたって少なくとも週に1回と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 使用経験なし、または非定常的使用
集団 2 定常的使用
集団 3 最初の使用からの年数: 0.5 - 4年
集団 4 最初の使用からの年数: 5 - 9年
集団 5 最初の使用からの年数: 10 - 14年
集団 6 最初の使用からの年数: ≥ 15年
集団 7 生涯の使用年数: 0.5 - 4年
集団 8 生涯の使用年数: 5 - 9年
集団 9 生涯の使用年数: 10 - 14年
集団 10 生涯の使用年数: ≥ 15年
集団 11 累積通話件数: < 5350
集団 12 累積通話件数: 5350 - 16062
集団 13 累積通話件数: > 16062
集団 14 累積使用時間: < 284
集団 15 累積使用時間: 284 - 1156
集団 16 累積使用時間: > 1156

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 1,660 781
参加者 806 589
参加率 50 % 75 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

全体として、定常的な携帯電話使用と白血病リスクとの関連は認められなかった(OR 1.06、CI 0.76-1.46)。最初の使用からの年数、生涯の使用年数、累積通話件数、累積使用時間に関連したリスクの分析では、有意なリスク上昇は認められなかった。携帯電話を15年以上前に初めて使用した人々のサブグループにのみ、有意ではないリスク上昇が認められた(OR 1.87、CI 0.96-3.63)。
著者らは、携帯電話使用は白血病リスクを高めないが、生物学的にはありそうにないものの、長期的な使用後の影響の可能性は残されている、と結論付けている。

研究助成

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