この研究は、ヘリコバクターピロリ(H. pylori) 細胞株ATCC 43629)のバイオフィルム形成および成熟バイオフィルムへの超低周波電磁界(ELF-EMF)ばく露の影響を調べた。ATCC 43629の細菌培養物および2日齢のバイオフィルムに、ELF-EMF(50 Hz、1 mT)の2日間ばく露を与え、細胞接着および成熟バイオフィルム剥離への影響をそれぞれ評価した。すべてのばく露試料およびそれらの擬似ばく露試料において、細胞生存状態、細胞形態解析、バイオフィルム質量測定、遺伝子型プロファイル、およびluxSおよびamiA遺伝子発現を調べた。その結果、ELF-EMFは、バイオフィルム形成中の細菌集団に作用し、細胞生存率にはばく露群のと擬似ばく露群の間に有意差が生じた;また、形態型においても、ばく露群でのらせん状桿菌の頻度(58.41 %)に対し、擬似ばく露群では(33.14 %)との有意差が見られた;成熟したバイオフィルムでは、擬似ばく露群に比べ、有意差は見られなかった;バイオフィルム質量は、両方の実験条件のどちらにおいても、ばく露群で有意に減少した;DNAパターンの変化は見られなかったが、amiA遺伝子発現に変化が検出された、と報告している。
Helicobacter pylori は2.5-3µmのらせん状のグラム陰性桿菌である。悪条件下では、特徴的な桿状の形が持続性の球菌形状に変化する。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 2 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 2 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | 450 mm long cylindrical solenoid with an inner diameterr of 170 mm and 180 turns of copper wire, placed vertically in an incubator; field homogeneity 1 % in the center of the solenoid; cells placed on a non-magnetic support in the center of the solenoid |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | - | - | - |
超低周波電磁界は、細菌の集団が生物相を形成する際に影響を及ぼし、細胞の生存能力(ばく露下では低下)ならびに形態学的種類(らせん形状の比率の測定による)に有意差を示した。対照的に、成熟した生物膜では、対照群との有意差は見られなかった。どちらのばく露条件(即ち、成熟した生物膜及び細胞培地)でも、ばく露した培地では生物膜の細胞の量は有意に減少した。つまり、超低周波電磁界ばく露は生物膜の形成を抑制し、細胞の接着を減少させた。DNAのパターン(遺伝子型)に変化は記録されなかったが、amiA遺伝子の発現の変調(偽ばく露下でより高いレベル)が検出された。
結論として、Helicobacter pylori の生物膜の超低周波電磁界ばく露は、表現型の変化(細菌の形態)及び細胞の接着の減少を生じた。ゆえに、電磁界ばく露はHelicobacter pylori のバランスを攪乱し、細菌の自己防御能力を低下させる。
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