この研究は、HL-60(ヒト急性前骨髄球性白血病細胞)およびK-562(ヒト慢性骨髄性白血病細胞)において、リボソーム生合成に関与するタンパク質であるヌクレオリンの発現と核内分布に対する回転磁界(RMF)の影響を分析した。細胞は、2通りの条件のRMF(35 Hz、10 mT;50 Hz、20 mT)のいずれかに、1日30分、24時間間隔で4日間、ばく露を受けた。サイトスピンスライドを調製し、ヌクレオリンの発現を、モノクローナル抗体を用いて検出した。ヌクレオリンに関連する蛍光パラメータを、アルゴンレーザを備えたレーザースキャンサイトメータによって、各スライドにおいて少なくとも2000個の腫瘍細胞で測定した。細胞周期の異なる段階にある細胞のパーセンテージも分析した。その結果、RMFへの反復的ばく露により、核全体およびヌクレオリン凝集体(NUA)におけるヌクレオリン発現が有意に増加した;NUAの数の変化によって測定されたヌクレオリンの再分布も観察された;実験に用いた2種の細胞株において、RMFばく露により細胞周期は変化しなかった、と報告している。
周波数 | 35 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 30 min with an interval of 24 h on 4 days |
Additional information | rotating field |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | water-filled glass container with the cultur flasks placed inside the stator |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 10 mT | mean | 計算値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 30 min with an interval of 24 h on 4 days |
Additional information | rotating field |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 20 mT | mean | 計算値 | - | - |
どちらの細胞株でも、回転磁界への反復的な短期ばく露は、核全体及びヌクレオリン集合体におけるヌクレオリンの発現の有意な増加を生じた。この影響は、K-562細胞では周波数依存的のようであったが、HL-60細胞でのヌクレオリン発現は、より低い周波数でより増加した。どちらの細胞株でも、ばく露後の細胞周期に有意な変化は認められなかった。このことは、回転磁界によるヌクレオリン発現の変化は細胞周期とは関連しないことを示している。
結論として、HL-60及びK-562においてヌクレオリンは回転磁界に反応する。その発現の増加は、回転磁界への細胞の応答を示しているかも知れず、他の生物学的特性に影響を及ぼし得るかも知れない。
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