この研究は、NADH酸化におけるECTO-NOX- / Cu(II)触媒振動が低周波電磁界ばく露により変化するか否かを調べた。ECTO-NOXタンパク質と呼ばれる成長関連の細胞表面タンパク質ファミリーは、銅依存性NADHおよびヒドロキノンの酸化、およびタンパク質のジスルフィド-チオール交換の両方を行う。ECTO-NOXタンパク質が触媒するこの2つの活性は、細胞膜常在のNADPHオキシダーゼ(cNOX)の場合、24分間の期間で規則的に交互に変化する。意外なことに、溶液中のCu(II)塩は単独で同様の振動パターンでNADH(またはハイドロキノン)酸化を触媒する。この2つのパターンはどちらも生理学的温度において、5つの最大値をもち、そのうちの2つは6分間隔、残り3つは4.5分間隔で分けられる。純水をX線吸収分光測定および赤外線分光測定すると、水の水素原子のオルト異性体とパラ異性体の比率が同様の時間スケールで生じ、ECTO-NOXタンパク質とCu(II)Cl(2)溶液で観察されるものと同様の不等間隔振動の規則的なパターンを生成することを著者らは以前に報告している。そこで、ECTO-NOXタンパク質とCu(II)Cl(2)溶液に低周波電磁界ばく露を与えて、同様の測定を行った結果、NADH酸化におけるECTO-NOX- / Cu(II)触媒振動が低周波電磁界へのばく露により同調されることが示された、と報告している。
一部のECTO-NOXタンパク質は、細胞の生物学的時計の中核的な発振器として機能するようである。ECTO-NOXタンパク質は、2つの酵素活性を触媒する:
ヒドロキノン及びNADH酸化、ならびにジスルフィド - チオール交換、これは制御期間の長さによって変化する。
ECTO-NOXタンパク質は12分間(6分間隔で2つの極大がある)のヒドロキノン(NADH)酸化を実行し、その後活性は休止する。ヒドロキノン(NADH)酸化活性が休止する一方、このタンパク質はジスルフィド - チオール交換活性に12分間(4.5分間隔で3つの極大がある)関与する。この活性はその後休止し、このサイクルを反復する。どちらの反応にも銅が必要である。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 2 min
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データは、低周波電磁界へのばく露によって、NADH酸化においてECTO-NOX/CuIIが触媒する振動の位相が変化した(即ち、位相のシフトを生じた)ことを示した。
著者らは、CuIIが関係するECTO-NOXタンパク質の振動リズムの位相変化に対する電磁界の影響についてのこれらのデータは、細胞のタイムキーピング機構が電磁界を感知し得るかも知れない分子メカニズムを初めて示すものである、と結論付けている。
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