研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電磁界の新規指標:カリフォルニアの学校の教師におけるがん発生率の上昇に関連した高周波電圧トランジェント] epidem.

A new electromagnetic exposure metric: high frequency voltage transients associated with increased cancer incidence in teachers in a California school

掲載誌: Am J Ind Med 2008; 51 (8): 579-586

この研究は、カリフォルニア州ラキンタの中学校の教師コホートにおけるがん発生率と学校の電気的環境との関係について後ろ向き調査を行った。その結果、1988年から2005年に採用された137人の教師コホートにおいて、16人の教師が18個のがん診断された;期待数/観察数(O / E)リスク比は、全がんで2.78(P = 0.000098)であった;悪性黒色腫でが9.8(P = 0.0008)であった;甲状腺がんでは13.3(P = 0.0098)、子宮がんでは9.2(P = 0.019)であった;60Hz磁界がん発生との関連を示さなかった;新しいばく露指標である高周波過渡電圧は、がん発生と正の相関を示した;教師コホートがん発生率分析では、Graham / Stetzer測定器で測定された教室電気配線での高周波過渡電圧への累積ばく露の増加に伴うがんリスクの増加のポジティブな傾向が示された;高周波過渡電圧へのばく露に関連するがん寄与リスクは64%であった;結論として、この教師コホートでのがん発生率異常に高く、高周波過渡電圧と強く関連していた、と報告している。

研究の目的(著者による)

本研究の狙いは、米国カリフォルニア州の学校の教師における、学校の電気的環境に関連したがん発生率を調査することであった。

詳細情報

本調査で導入した新たなばく露尺度(GS単位)は、あるメーターで測定される。それは、電力配線上のどこにでも存在する、高周波電圧トランジェントの平均変化率を表示する。過負荷の読み取り値は2000GS単位を超える場合と定義され、これは例えば、時間の関数としての電圧の変化率の平均的な度合いである。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (相対リスク(RR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
集団 1 過負荷の読み取り値が少なくとも1回あった教室で教えたことがない教師
集団 2 過負荷の読み取り値が少なくとも1回あった教室で教えたことがない教師、雇用期間が10年未満
集団 3 過負荷の読み取り値が少なくとも1回あった教室で教えたことがない教師、雇用期間が10年超
集団 4 過負荷の読み取り値が少なくとも1回あった教室で教えたことがある教師
集団 5 過負荷の読み取り値が少なくとも1回あった教室で教えたことがある教師、雇用期間が10年未満
集団 6 過負荷の読み取り値が少なくとも1回あった教室で教えたことがある教師、雇用期間が10年超

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 137
その他:

1576教師‐年

結論(著者による)

1988-2005年に雇用された教師137人のうち16人が、18のがん診断された。がん全体についての相対リスクは2.78、悪性黒色腫については9.8であった。甲状腺がんについての相対リスクは13.4、子宮がんについては9.2であった。60Hz磁界がん発生率との関連は認められなかった。新たなばく露尺度はがん発生率との正の相関を示した。
著者らは、この学校の教師のがん発生率異常に高く、高周波電圧トランジェントと強く関連していると結論付けた。

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