この研究は、60Hz(2mT)磁界のマウス皮膚がんのプロモーションおよび共プロモーション効果について実験した。併せて、脾臓および血液中のナチュラルキラー(NK)細胞活性に対する磁界の影響も調べた。メスの若齢マウス(n = 32)の背部皮膚に、発がん閾値以下の用量の7,12-ジメチル - ベンズ(a)アントラセン(DMBA)の処置を行なった。処置の1週間後、擬似ばく露群とばく露群(2mT)に分け、6時間/日で21週間のばく露(または擬似ばく露)を行なった。結果として、これら2つの群のマウスに腫瘍は発生しなかった。次に、磁界が腫瘍増殖に直接影響するのか、免疫監視を抑制することによって腫瘍発生に影響するのかを調べる実験を行った。腫瘍プロモーター12-0-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート(TPA)処置を週一回行い、その後、上記と同じばく露(または擬似ばく露)を行なった。結果として、磁界およびTPAばく露群において、腫瘍の発症までの時間は短かくなった(統計的には有意でなかった);擬似ばく露群とばく露群の間で、NK細胞活性および脾臓サイズにいくつかの差異が観察された、と報告している。
皮膚がんの化学的誘導にDMBAとTPAを用いた。更に、脾臓及び血中のナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性を調べた。合計160匹の動物を用いた(5群、各32匹)。全ての動物に単用量の亜発がん性DMBA(10nmol)を投与した。A群(偽ばく露)及びB群(毎日ばく露)はTPAで処理せず、C群(偽ばく露)及びD群(週5日ばく露)は週1回、1µgのTPAで処理した。E群は陽性対照とし、磁界にはばく露せず、2µgのTPAで週2回処理した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
6 h/day, 5 days/week for 21 weeks
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 6 h/day, 5 days/week for 21 weeks |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 2 mT | - | - | - | - |
A群及びB群は、印加した磁界が古典的な腫瘍プロモータのように作用し得るかどうかを調べるために用いた。これらの群ではパピローマの成長は検出できず、NK細胞の活性に関する有意な影響も認められなかった。
C群及びD群は、印加した磁界(とTPA)が腫瘍のコプロモータとして作用し得るかどうかを調べるために用いた。但し、腫瘍の成長に統計的有意差は認められなかった。本研究で示された唯一の影響は、偽ばく露のC群と比較して、D群での肥大化した脾臓のあるマウスの比率の有意な増加と、単核脾臓細胞の数の増加であった。
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