この研究は、ラットに社会認識タスクを行わせ、超低周波電磁界(ELF EMF)へのばく露による記憶増強効果の可能性ならびにその効果のエストロゲン依存性を調べた。若年期の社会認識パラダイムを利用したタスクとして、ある若年期ラットに、ある成獣ラットを見させる(4分間)ことを2回繰り返し、その30分後と300分後に、その成獣ラットを再び見させて、記憶保持能力をテストした。雌のラットは、卵巣切除ラットおよび無傷ラットを用意し、両者を比較した。その結果、ELF-EMFばく露の有無に関わらず、生殖腺が無傷のラットおよび卵巣切除ラットの両方において、30分後に社会的認識記憶は存在することが示された;しかし、生殖腺が無傷の雌ラットでは、300分後に認識記憶の保持を示すことができなかったのに対し、ELF EMFばく露を受けた雌ラットは保持を示した;これは、社会的認知記憶に対するELF EMFの持続期間延長効果が、性腺的に無傷の雌および雄で生じることを示す;さらに、記憶保持のELF EMF促進が卵巣切除処置によって阻止されたが、エストロゲン投与によって回復することが示された、と報告している。
幼若社会認知パラダイムを用いて、成獣を幼若獣(社会的刺激として)にばく露してから30及び300分後に、記憶保持を検査した。
認知に対するエストロゲンの影響力を調べるため、80匹の成獣ラットのうち40匹の卵巣を切除した。試験の3日前、これらのラットのうち16匹に17-bエストラジオールを毎日注射した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
repeated daily exposure, 2 h/day for 9 days
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | repeated daily exposure, 2 h/day for 9 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Coils were spaced apart at a distance of equal radii in upper and lower face of the plastic exposure chamber (30 x 30 x 15 cm) and provided uniform field distribution. Sham exposed animals were kept in the same chamber for the same amount of time but with the coils switched off. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | unspecified | 測定値 | - | - |
超低周波電磁界ばく露または非ばく露の、生殖腺が健全なラットと卵巣切除したラットの両方で、健全な社会認識記憶が示された。但し、生殖腺が健全な対照ラットは、300分の時点で認識記憶保持を示せなかったが、更に超低周波電磁界にばく露されたラットは示せた。このことは、生殖腺が健全な雌では雄と同様に、社会認識記憶に対する超低周波電磁界の持続時間延長作用が生じていることを示している(publication 11223 参照)。
加えて、データは、ばく露による記憶保持の促進は卵巣摘出によって妨げられるが、エストロゲンの外因性処置によって回復することを示した。このことは、社会認識記憶に対する超低周波電磁界の影響はエストロゲン依存性であることを示唆している。
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