この研究は、著者らによる先行研究の知見(超低周波磁界(ELF MF、60 Hz)は痛覚過敏を引き起こす可能性があり、その反応はベンゾジアゼピン系によって調節される可能性がある)をさらに確認するために、ラットにMFばく露とジアゼパム(ベンゾジアゼピン受容体作動薬)および/またはフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)投与を同時に実施し、その影響を調べた。ラットの痛みの閾値測定はホットプレートテストにより行った。その結果、MFまたはジアゼパム(0.5 µg、脳室内投与)の単独ばく露の場合、それぞれは痛覚過敏効果を誘発したが、その潜時は短縮した;これらの影響は、フルマゼニル(1.5 mg / kg、腹腔内投与)の前処理によって阻害された;MFとジアゼパムの同時ばく露の場合、潜時は減少傾向を示したが、統計的有意差はなかった;MFとジアゼパムの同時ばく露による痛覚過敏の誘発も、フルマゼニルによって阻害された;しかし、GABA(A)拮抗薬であるビククリン(0.1 µg、脳室内投与)またはGABA(B)拮抗薬であるファクロフェン(10 µg、脳室内投与)の前処理は、MFの痛覚過敏効果の誘発を妨げなかった;これらの知見は、ベンゾジアゼピン系がMF誘発性の痛覚過敏に関与している可能性を示唆する、と報告している。
先行研究(publication 11849)で著者らは、20ガウス磁界への単独ばく露が、(ホットプレート試験での)マウスにおける刺激反応の潜時の有意な短縮、即ち痛覚閾値の上昇を生じることを見出した。これらの研究で、著者らは、磁界による痛覚過敏はベンゾジアゼピン受容体を介して生じると仮定した。
この磁界の影響を更に確認するため、ジアゼパム(ベンゾジアゼピン受容体作用薬)及び/またはフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)と磁界ばく露との組合せを用いた。GABA受容体拮抗薬についても調べた。
痛みの閾値検査では、磁界またはジアゼパムが、潜時の短縮を伴う痛覚過敏作用を生じた。これらの作用は、フルマゼニルの前処理によって阻害された。
ラットを磁界とジアゼパムに同時にばく露した場合、潜時は統計的有意差なしに短縮する傾向があった。磁界とジアゼパムとの共ばく露による痛覚過敏の誘導も、フルマゼニルによって阻害された。
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