国際がん研究機関(IARC)に対する諮問グループは、非電離放射線のうち無線周波(RF)電磁界のがんリスクについて「再評価の優先順位が高い」と勧告しました。専門誌 The Lancet Oncology に掲載された報告書の概要版によれば、諮問グループは、新たな評価を2022-2024年に実施することが望ましい、と示唆しています。今回、RF電磁界以外の複数の作用因子(ガソリンエンジン排ガス、アクリルアミド、座りがちな行動、等)も再評価されました。諮問グループの詳細な報告書は別途公表される予定です。
femu が実施した「中間周波範囲(300 Hz-1 MHz)の電界、磁界及び電磁界の生物学的影響についての系統的レビュー」が、学術誌 Environmental Research に掲載されました。このレビューの目的は、中間周波電磁界へのばく露の潜在的な生物学的影響及び健康影響を評価することでした。この分析では、ほとんどのエンドポイントについて、レビュー対象の研究の結果には一貫性がないことが示されました。加えて、多くの研究には方法論的な限界があり、報告された結果の信頼性を損ねていました。全体として、悪影響についての証拠の質は依然として不十分で、調査した生物学的影響について結論を導くことはできません。
このプロジェクトは、ドイツの連環境・自然保護・原子力安全省(BMU)及び連邦放射線防護局(BfS)に助成されました(交付番号3616S82437)。
このレビュー論文は、EMF-Portal 及び Environmental Research のウェブサイトで確認できます。
米国生体電磁気学会(BEMS)と欧州生体電磁気学会(EBEA)の合同年会 "BioEM 2019" が、フランスのモンペリエで2019年6月23~28日に開催されます。詳細情報は、BioEM 2019の公式ウェブサイトをご覧下さい。プラットフォーム発表及びポスターセッションについてのアブストラクト募集が開始されています。
米国の国家毒性プログラム(NTP)は、携帯電話電波に関する研究の最終報告書を発表しました。ラット及びマウスでのこれらの毒性研究は、第二世代(2G)及び第三世代(3G)携帯電話で使用されている電波へのばく露による、がんリスクを含む潜在的な健康ハザードの解明に資するために実施されました。NTPは、雄ラットの心臓での腫瘍(悪性神経鞘腫)の明確な証拠があり、また、雄ラットでの更なる腫瘍について何らかの証拠がある、と結論付けました。日本と韓国は、独自の動物研究でこの結果を検証すると発表しています。
本件の関連文書ならびにファクトシートは、NTPの以下のウェブサイト(英語)から入手できます。NTP-Homepage
アーヘン工科大学生体電磁気相互作用研究所(femu)は、ドイツ連邦放射線防護局(BfS)が助成したプロジェクトの枠組みの下、Seibersdorf Labor GmbHと共同で、「中間周波領域の新規技術の電磁界へのばく露とその影響-系統的レビュープロジェクト3616S82437」と題する系統的レビューを実施しました。この報告書は3部構成で、第1部は中間周波領域の電磁界の発生源及びばく露、第2部は中間周波電磁界によって生じ得る生物学的影響、第3部は植込み型電子機器に生じ得る電磁障害を、それぞれ扱っています。このレビューは、研究報告書(独語のみ。英語の要旨を追加予定)としてBfSのオンライン・データベースであるDORISに掲載され、以下から無料でダウンロードできます。 download
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、無線周波(100 kHz-300GHz)の時間変化する電界、磁界及び電磁界へのばく露制限についてのガイドラインの意見聴取用草案を発表しました。ICNIRPはガイドライン策定の一環として、ガイドライン草案を定期的に提示し、一般からの批判とフィードバックを奨励しています。聴取期間は2018年10月9日までです。聴取期間終了後、全てのコメントは、草案の最終化のためにICNIRPによってレビューされます。
草案原文及び意見提出用書類は、以下からダウンロードできます。ICNIRP website.
アーヘン工科大学生体電磁気相互作用研究所(femu)が実施した系統的レビュー「中間周波領域の電磁界を発する新規の電気製品によって植込み型心臓電子機器に生じる電磁障害」が、雑誌EP Europaceに掲載されました。この系統的レビューは、植込み型心臓電子機器(CIED)が中間周波(IF、1 kHz-1MHz)領域において電磁障害(EMI)を受けやすいかどうかを評価することを目的としています。分析の結果、CIEDはIF領域において、特に、セキュリティシステムや誘導加熱式(IH)調理器からのEMIを受けやすいことがわかりました。EMIが生じる可能性は、ばく露に関連するパラメータ(電磁界強度、周波数及び変調)、ならびに植え込まれる装置及びリード線(型式、装置の種類、装置の感度設定、リード線の配置、植え込み部位)に依存します。但し、EMIに影響力を及ぼす要因は十分には特徴付けられておらず、ばく露限度値を導出できません。このため、今後の研究では、ばく露に関連するパラメータ、ならびに装置及びリード線に関連するパラメータを系統的に考慮すべきです。加えて、全ての種類の研究において、可能な限り最悪ケースのシナリオを考慮すべきです。
この研究は、ドイツの「運輸部門における環境と健康についての欧州研究グループ(EUGT)」の助成により実施されました。
この論文は、以下のEP Europeのウェブサイトでダウンロードできます。
EP Europace homepage
予算上の問題で2017年11月27日より中断しておりました無線周波電磁界に関する新規文献情報について、現在、2018年4月30日分まで掲載を行っております。なお、これ以降の掲載については、引き続き掲載を中断しております。
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