誘導加熱(IH)調理器やワイヤレス電力伝送といった多くの新規技術は、中間周波(IF)範囲の電界、磁界及び電磁界を生じるが、生態系に対するIF電磁界の影響はこれまで十分に調査されていない。この系統的レビューは、IF電磁界の潜在的悪影響についての研究状況の最新情報を提示し、これを評価することを目的として、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA)ガイドラインに則って実施された。また、Office of Health Assessment and Translation(OHAT)のRisk of Bias Rating Tool for Human and Animal Studiesを用いて、個々の研究の方法論的限界を評価した。その結果、ヒト、動物またはイン・ビトロのばく露を扱った56報がレビュー対象として適格とされた。これらの研究では、多くの異なるエンドポイントが調査されており、大半の知見は磁界ばく露についての研究で得られた。但し、大半のエンドポイントについては、レビュー対象の研究の結果には一貫性がなく、影響が認められなかった研究もあれば、IFばく露と悪影響とのつながりが認められた研究もあった。大多数の研究では、用いられた電磁界強度は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)ガイドラインの一般公衆に対する参考レベルを超え、周波数は主に100 kHz未満であった。更に、レビュー対象の研究の多くで方法論的限界が認められ、結果の信頼性を損なっていた。これらの結果から、悪影響についての証拠の質は依然として不十分であり、大半のエンドポイントに対するIF電磁界の生物学的影響について結論を導くことはできない、と著者らは述べている。今後の研究では、IF範囲の電磁界の影響をより系統的に調査すべきである(例えば、周波数依存性の潜在的影響を同定するため、各種の周波数を考慮することや、特に閾値依存性の影響が予想される場合に異なる電磁界強度を適用すること)と勧告している。また、磁気閃光、知覚、神経または筋肉の刺激、熱作用の誘導といった、急性影響の調査に優先順位を与えるべきであり、これらはICNIRPガイドラインの参考レベルの検証に向けた重要なステップとなるであろう、と述べている。加えて、高品質のドシメトリの実施及びバイアスのリスクの最小化を目的とした研究を推奨している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。