この研究は、慢性的な900 MHz高周波(RF)電磁界ばく露が、非熱的なメカニズムを介して、生体内のストレス応答系(HPA軸)を潜在的に機能不全に陥らせるという仮説を検証した。具体的には、副腎の微細構造、およびラットの行動変化を引き起こす可能性のある海馬などの脆弱な脳領域に変化が生じるかを調査した。体重50-60 gの4週齢の雄のWistarアルビノラットを用い、携帯電話からの900 MHzのRFを1時間/日、4週間にわたり照射した。29日目には、対照群、擬似ばく露群、およびばく露群の動物に対し、文脈的恐怖条件付け試験を実施した。その後、海馬および副腎の細胞構造を調べるために安楽死させた。その結果、ばく露群では、回避ボックスにおける明暗コンパートメントの移行が顕著に増加し、文脈的恐怖条件付け試験中の暗いコンパートメントへの侵入潜時が有意に減少した。海馬のCA3領域ではアポトーシスが認められ、ばく露群では血管周囲腔が有意に拡大していた。副腎の束状帯では、リンパ球浸潤、充血した類洞、アポトーシス様の変化が明らかになった。ただし、副腎髄質の細胞構造は3群間で同程度であった。慢性的なRFばく露は、ラットにおいて文脈的恐怖条件付けの変化、海馬血管周囲腔の拡大、明らかなCA3アポトーシス、および副腎束状帯のアポトーシス様の変化を引き起こすことが示唆された、と著者らは結論付けている。
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