[ヒト実験研究における認知機能への高周波電磁界曝露の影響：系統的レビューおよびメタ分析] review

このレビュー論文は、ヒト実験研究において短期間の高周波（RF）電磁界ばく露と認知機能の関連を評価した。オンラインデータベース（PubMed、Embase、Scopus、Web of Science、およびEMF-Portal）を検索し、ヒト実験研究においてRFばく露が認知機能の7つの領域に及ぼす影響を評価した研究を抽出した。研究の質の評価は、米国国家毒性プログラム・健康評価解釈局（NTP-OHAT）が開発したバイアスのリスク（RoB）ツールに基づいて実施した。さまざまな認知領域の精度および速度に関連するパフォーマンス指標について、少なくとも2つの研究からデータが得られた場合、無作為効果メタ分析を個別に実施した。最後に、特定された結果ごとに、エビデンスの確実性を推奨事項の評価、開発および評価のグレーディング（GRADE）に基づいて評価した。その結果、57,543件の記録が特定され、76件の研究（80件の報告）が選定基準を満たした。選定された76件の研究には、19か国から参加した年齢、性別、健康状態の異なる3,846人の参加者が含まれており、1989年から2021年にかけて実施されていた。50件の研究（52件の報告）から得られた2,433人の参加者の定量的データをメタ分析に包含した。これらの研究は、2001年から2021年にかけて15か国で実施された。選定された研究の大部分は、GSM 900のアップリンクを用いた頭部ばく露を用いていた。いずれのメタ分析も、Hedgesのgの信頼区間やz統計量の有意性に基づいて、擬似ばく露と比較してRFばく露が認知機能に統計的に有意な影響を及ぼしたことを示さなかった。全体として、GRADEに基づいた速度および精度に関連するアウトカム測定におけるすべての領域およびサブクラスの結果は、短期間のRFばく露がヒト実験研究において認知機能を低下させないという、「高い」から「低い」までの確実性のエビデンスを提供している。35個のサブドメインのうち16個については、研究の質の制約、結果の不一致、または合計効果サイズの推定値の不正確さのために、若干の不確かさが残っている。今後の研究では、建設および運動能力、高齢者、および性別の考慮に焦点を当てるべきである、と著者らは報告している。