世界保健機関(WHO)では現在、一般公衆および労働者の集団における高周波(RF)電磁界へのばく露の潜在的健康影響を評価中である。そのような健康影響の一つに関連して、RF電磁界がヒトの認知能力に影響を及ぼすかもしれないという懸念がある。この論文は、ヒトを対象とした実験研究における、RF電磁界への短期的ばく露と認知能力との関連を評価する系統的レビューのためのプロトコルを提示することを目的としている。データ源としては、PubMed、Embase、Web of Science、ScopusおよびEMF-Portalの各データベースで文献検索を実施すると共に、包含される研究および取得するレビュー論文の参考文献リストを手作業で検索する。包含基準としては、認知能力に対するRF電磁界ばく露の影響を、非ばく露または低ばく露との比較で評価する無作為化ヒト実験研究で、任意の発行日に任意の言語で一次データを報告する査読付き論文を包含する。レビューチームが事前に定義した一連の様式に従ってデータを抽出する。バイアスのリスクの評価のため、米国国家毒性プログラム(NTP)の健康評価解釈局(OHAT)が開発した「ヒトおよび動物研究に対する格付けツール」を適用し、クロスオーバー研究については追加的な質問でこれを補足する。十分に類似した研究が同定された場合(例:対象集団、ばく露およびアウトカムに関する異質性が低く、統合可能な場合)、無作為効果メタ分析を実施する。そうでない場合、ナラティブな統合を実施する。同定された各々のアウトカムについての証拠の確かさは、GRADEアプローチ[医療におけるエビデンスの質と推奨の強さをグレーディングする手法]に従って評価する。このプロトコルに従ってレビューを実施することで、RF電磁界によって生じるかもしれないヒトの認知能力への影響の同定が可能となる、と著者らは結論付けている。また著者らは、透明性の確保のため、このプロトコルをオープンソースのプロトコル登録システムであるPROSPEROに登録済みである。
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