この研究は、高圧送電線の鉄塔から生じる電界の影響を、雄のアカゲザルを用いて調べた。小脳の認知、生物学的および構造的な観点から、アカゲザルの脳における機能と影響の程度を検討した。2匹のサルを用いて、1匹を対照群、もう1匹を試験群とした。試験群のサルを、3 kV/mの模擬HV電界に4時間/日、1か月間ばく露した。この目的のために設計および構築された装置を用して行動学的試験を実施した。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の濃度分析とグルココルチコイド受容体遺伝子(GR)の発現を、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて調べた。小脳の解剖学的変化を、磁気共鳴画像法(MRI)で調べた。全ての試験を、研究期間の前後に実施し、対照群と比較した。その結果、認知試験では、HV電界にばく露されたサルに、ばく露前と比較して、最初の1週間で有意な低下が認められた。また、GR遺伝子の発現が減少し、血漿中のACTHホルモンの濃度が増加した。脳のMRI画像のレベルを調べたところ、差異は認められなかったが、小脳の一部に出血が認められた。試験したサルの認知的、生物学的、およびMRIの結果は、視覚的学習および記憶指標の低下を示している、と著者らは結論付けている。
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