[電磁界が誘導するDNAメチル化、ヒストン脱アセチル化、酸化ストレスを介したシュワン細胞の適応応答] med./bio.

シュワン細胞の変性により末梢神経系に発生する良性腫瘍であるシュワン細胞腫は、エズリン-ラディキシン-モエシン（ERM）ファミリーに属する細胞骨格関連タンパク質である腫瘍抑制merlinをコードする、ニューロフィブロミン2型遺伝子の変化と関連している。しかし、シュワン細胞腫の発症と進行の根本的なメカニズムは完全には解明されておらず、その課題の一つとして環境要因が考えられる。この観点から、一般的な電気機器の使用によって発生する電磁界へのばく露が、シュワン細胞の変性の原因として示唆されているが、その証拠は主に疫学的なものであった。実際、これまでにシュワン細胞のがん化を説明するための具体的なメカニズムはほとんど特定されていない。最近のイン・ビトロ研究からの証拠では、電磁界（0.1 T、50 Hz、10分）にばく露したシュワン細胞において、増殖および移動能力の変化が指摘されている。この研究は、同じ実験パラダイムを用いて、シュワン細胞の電磁界への適応における推定されるエピジェネティックなメカニズムの関与と、ばく露後の低酸素変化の発生を検討した。その結果、シュワン細胞が環境によって誘導される一連の変化を示し、これが生理的でない状態へと向かい、シュワン細胞の分化およびシュワン細胞腫の発生に病理学的に関連する可能性があることが示唆された、と著者らは結論付けている。