高周波(RF)電磁界へのばく露は、神経細胞の電気生理学およびシナプス可塑性の変調と関連している。この研究は、これらが遺伝子発現の変化と同時に起こる可能性を考慮し、RFばく露後に神経細胞において転写応答が発生するかどうかを、熱的および非熱的条件下で調べた。ラットの一次海馬神経細胞(PHNs)を、2つの異なる平均比吸収率(SAR)0.57 W/kgまたは5.91 W/kgでRF(3.0 GHz、連続波)に単回または複数回(3回、1回/日)ばく露したところ、約0.3℃または3.6℃の温度変化(ΔT℃)を生じた。RFばく露群のPHNsと擬似ばく露群の間の転写の変化を、Illumina HiSeq. 2000を用いたハイスループットRNAシーケンシングにより、ばく露の0、4、24 時間後に評価した。その結果、合計20の差次的発現遺伝子(DEGs)でRFばく露による有意な上方調節が認められ、これは熱的上昇を生じる高いSARのみで観察された。但し、これらのDEGsの発現はばく露の24時間後には有意ではなかった。これらの結果から、低RFばく露条件下での遺伝子発現に対する非熱的影響がないことが確認された。また、4 W/kgの基準値に近いばく露において、わずかな熱的影響が示されたものの、その影響は一時的であることが示された。この研究は、基準値に近いレベルでのRFばく露が、軽度の温度上昇(すなわち、通常より3–5℃の上昇)を生じるにもかかわらず、生物学的に重要な細胞変化を引き起こさないことを示唆している、と著者らは結論付けている。
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